タイトル |
目的型踏査線調査法を用いてインドネシア西ジャワ州800m―1800m 標高地帯の作付け体系の多様性を把握 |
担当機関 |
(独)国際農林水産業研究センター |
研究期間 |
2000~2003 |
研究担当者 |
Iskandar Ishaq(西ジャワ農業技術評価センター)
S
コールドウェル
ジョン
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発行年度 |
2003 |
要約 |
インドネシア西ジャワ州において、温帯野菜への移行は1100-1200m に認められ、混作は1100-1600m に集中する。と一致する。
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背景・ねらい |
インドネシア西ジャワ州において、2000 年に4 つの斜面に沿った温帯野菜生産地を概要調査した結果、作付けが温帯野菜に移行するのは、技術的に可能な700m の標高よりも、1000m 前後からであることが分かり、単作を前提とする既往の高水準野菜栽培技術に適せず、独自の技術開発を必要とする混作が広く見られる。作付けの多様性を標高毎に把握し、作付けと栽培技術選択理由を統一的に解明する「目的型踏査線調査法」を開発し、2 つの生産地(地図1 、チウィデーとガルート)で適用した。
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成果の内容・特徴 |
- 「目的型踏査線調査法」は、農業生態系分析の定性的踏査線調査法を定量的利用に改良し、参加型手法および農家戸別調査を組み合わせた総合的迅速調査法である。その特徴は、GPS
で標高を測定し、傾斜を横断する線と、一定間隔の等高踏査線を設定する。各等高踏査線を踏査し、作物の栽培範囲を歩数で記録し、踏査線における割合として図式化すれば、各標高および標高間の多様性を表すことができる。
- 農民の集合的な知識を活用する。踏査線地区の農民集会を開催し、新聞紙大白紙数枚に踏査線と集落名を書き、標高毎に作物を面積順でランク付ける。その結果により、標高毎に農家を3戸選定し、3年間の作付け史、混作・単作の形態と選択理由、生産流通制約について戸別聞き取り調査を行う。各年の作付けの割合を標高毎に図式化すれば、標高間と年間の作付けの多様性を同時に把握できる。生産流通制約も作付け法別、作物別、標高別に、目的に応じて表し、把握できる。
- 結果を総合的に検討できる。西ジャワの適用例では、過去3年間に、稲作から温帯野菜への作付け移行は、1100-1200m で認められる(図1
)。温帯野菜は種類により標高の幅が違い、アブラナ科の甘藍類は標高幅が広いのに対して、セロリーは1400-1500m、ジャガイモは1600m 以上の標高に集中する。単作と周囲作がある単作の踏査線上の割合は、混作と棚栽培(棚上作物下に他の作物も栽培)より3 - 4倍多い(図2 )。混作は、野菜の種類が多様な1100-1600m 地帯に集中する(作付け史による図1 と踏査による図2 を比較)。混作選択理由は、作物間の資源(日射、水、栄養)の競合が少ない作目の組み合わせ、同一面積の多目的利用、肥料の効率的利用が多く、理由無い選択は少ない(図3 )。混作の根拠は伝統ではなく、栽培学的配慮と経済的動機がともに働いている。生産制約に病害虫が最も多く、流通の制約要因は生産地によって違う。
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成果の活用面・留意点 |
- 目的型踏査線調査法では、傾斜横断線1つと標高毎聞き取り農家3 戸の場合、3人で2週間内に1地域の作付けの多様性と選択理由の把握が可能である。作付け史と踏査結果の整合性を高めるためには、傾斜横断線2つ、聞き取り農家6
戸にすることが望ましいと考えられ、その場合、3人で約1ヶ月と予定する。
- 栽培技術開発の優先度は、1 )全体としては栽培面積割合が最も高い単作栽培法に重点を置くことが、費用対効果の観点から効率的かつ効果的である。2
)混作が多い1100-1600m 標高では、農家の混作選択理由である、作物間資源競合緩和、単位面積収益性を目標にすれば、受容の可能性が高いと考えられる。地域技術適正化チームと農民組織を通じて、調査結果を提示し、農家圃場試験研究に進むことが可能である。
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図表1 |
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カテゴリ |
肥料
あぶらな
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栽培技術
GPS
ばれいしょ
野菜栽培
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