イネの環境ストレス誘導性遺伝子の網羅的解析とストレス誘導性プロモーターの単離

タイトル イネの環境ストレス誘導性遺伝子の網羅的解析とストレス誘導性プロモーターの単離
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2000~2004
研究担当者 J. G. Dubouzet
M. A. Rabbani
伊藤裕介
桂幸次
篠崎和子
圓山恭之進
発行年度 2003
要約 が同定される。そのうち5 種の遺伝子から単離したは有効な発現の組織特異性とストレス誘導性を示す。
背景・ねらい イネはアジア地域の食料を支える重要な穀物であるため、突然の異常気象や環境劣化に備えた品種の開発が重要な課題である。これまでに、モデル植物のシロイヌナズナを用いて、ストレス誘導性の転写因子遺伝子とストレス誘導性プロモーターを用いることで、乾燥・塩・低温ストレスに対して高レベルの耐性を示す植物を作出することに成功している。そこで、シロイヌナズナの研究結果をもとにイネの環境ストレス誘導性遺伝子を解析して、イネの環境ストレス耐性機構で働く重要遺伝子を明らかにする。また、環境ストレス耐性イネの開発に重要なストレス誘導性プロモーターを単離して、その機能を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. イネから収集した1727 個のcDNA を鋳型としてPCR 法によりcDNA 配列を増幅させ、cDNA マイクロアレイを作製した。
  2. cDNA マイクロアレイ解析によって、イネの乾燥、塩、低温ストレスあるいはストレス時に働きを示す植物ホルモンのアブシジン酸(ABA)によって誘導される141
    個の遺伝子を選抜した。
  3. 選抜された141 個のすべての遺伝子に関して、継時的に乾燥、塩、低温ストレスあるいはABA 処理した植物から調整したRNA
    を用いてノーザン解析を行い、73 個の遺伝子がストレス誘導性であることを確認した(図1 )。
  4. ストレス誘導性の73 遺伝子を分類すると、51 遺伝子(70%)はシロイヌナズナでストレス耐性機構に関与することが示されている遺伝子に類似しており、シロイヌナズナとイネの持つストレス耐性機構が類似していることが示された。
  5. 同定されたストレス誘導性遺伝子群のうち、応答するストレスの種類が異なりストレス応答が顕著な5 種の遺伝子のプロモーター領域を単離した。ストレス誘導性を確認するため、これらのプロモーターをGUS
    リポーター遺伝子と結合してイネに導入した。得られた形質転換体を用いてGUS 活性を測定すると全てのプロモーターでストレスによる活性の上昇が見られ、ストレス誘導性プロモーターであることが確認された。また、組織化学的解析からこれら5
    種のプロモーターは根や葉のどの組織においても発現を誘導することが示された。
成果の活用面・留意点
  1. イネの乾燥・塩・低温ストレス耐性機構で機能する遺伝子群が網羅的に明らかにされ、環境ストレス耐性イネの開発のための有用遺伝子として利用が図れる。
  2. 単離されたイネの乾燥・塩・低温ストレス誘導性プロモーターは環境ストレス耐性作物の開発に利用できる。
カテゴリ 乾燥 品種

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