赤かび病抵抗性コムギ品種・蘇麦3 号の品種内変異

タイトル 赤かび病抵抗性コムギ品種・蘇麦3 号の品種内変異
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2001~2005
研究担当者 坂智広
叢花(中国新彊ウイグル自治区農業科学院)
発行年度 2003
要約 SSR マーカーを見ると、CIMMYT 配布の3 系統には変異は無く、オーストリア系統は13.2%、日本の2 系統には19.4%と0.4%のマーカー変異が認められる。
背景・ねらい 中国江蘇省農業科学院で育成されたコムギ品種の蘇麦3号は、赤かび病抵抗性遺伝育種素材として世界的に使われている。近年、世界各地の系統には形態的、生態的に異なるものが見出されており、全染色体領域にわたるSSR
マーカー(マイクロサテライトマーカー)を用いて品種内の変異を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 中国江蘇省農業科学院で育成された赤かび病抵抗性品種の蘇麦3号には、形態的・生態的特性が異なる系統が認められ、大きく分けて、幼鞘と葯が紫色か黄色の系統が存在する(図1
    )。
  2. CIMMYT から配布された米国、カナダ、イラン系統は242 個のSSR マーカーで違いが無く、同じ遺伝子型である(表1

  3. 蘇麦3号のオーストリア系統は11 染色体上の32 マーカー(13.2%)で多型が認められ、別品種よりも多型頻度は小さい(27.7%,53.7%)ことから、その遺伝的変異は他殖のあと浸透交雑が繰り返されたと考えられる(表1
    )。
  4. 蘇麦3号の日本系統には、江蘇省農業科学院保存系統と同様に幼鞘や葯に紫色と黄色の形態的変異が認められ(図1 )、その1 つはSSR
    マーカーが19.4%の多型率を示す雑駁な系統であった。黄色葯個体を選抜したJIRCAS 系統では、5AS 染色体のXgwm293
    についてのみバンドを欠失する変異で固定しており、日本の系統は元からあった2 タイプの系統が共存し保存されている。
成果の活用面・留意点
  1. 赤かび病抵抗性研究および育種現場に抵抗性遺伝資源の多様性に関する情報を提供する。
  2. 蘇麦3号には品種内変異があるため、遺伝解析や育種素材として使う際に十分に注意が必要である。
図表1 214588-1.gif
カテゴリ 育種 遺伝資源 抵抗性 抵抗性品種 品種

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