タイトル |
熱帯のサイレージ醗酵に適した優良乳酸菌 |
担当機関 |
(独)国際農林水産業研究センター |
研究期間 |
2000~2003 |
研究担当者 |
Sunee Nitisinprasert(カセサート大学)
Supanit Hiranpradit(タイ農業局)
大桃定洋
|
発行年度 |
2003 |
要約 |
タイ国で良質サイレージを調製するための乳酸菌を熱帯対応型高温(45 ℃)を増やすと乳酸量が増大し、共存他種微生物の生菌数を低下させた。
|
背景・ねらい |
タイ国では都市部を中心に牛乳類の消費が急増しているものの、新鮮乳生産量は需要の60 %に止まっている。タイ農業共同省畜産局では新鮮乳生産の自給率向上のために良質サイレージの給与を奨励しているが、良質サイレージの調製は必ずしも容易ではない。その原因の一つは、タイ国の気候風土に適応したサイレージ用乳酸菌が利用されていないことにもある。 そこで、酵母及びコリ型細菌(CFB)とともに乳酸菌(LAB)を接種して固体混合培養する熱帯対応型改良パウチ法を用いて、タイ国での良質サイレージ調製のためのLAB を検索する。
|
成果の内容・特徴 |
- タイ国のサイレージ14 点から分離した450 株のLAB をMRS 培地で培養し、培地のpH を4 以下にまで低下させた15
株を選抜して、それらのサイレージ適性を改良パウチ法で検定し、以下の3 菌株を優良株として評価した。
- トウモロコシ・サイレージから分離したSP1-3 株(Lactobacillus plantarum と仮同定)は初期増殖速度はやや遅いものの、高温適応性及び乳酸耐性に優れ、最適温度45
℃における48 時間の液体培養では培地中糖量の約94%に相当する14 mg/ml乳酸を生成した。
- 同じくトウモロコシ・サイレージから分離したPediococcus 属のCS5-5 株とCS1-8 株(ともにacidilactici
~ pentosaceus 種群)は速やかな初期増殖を示し(図1 - B)、乳酸生成の最適温度及び対糖収率は40 ℃及び約60%であった。
- SP1-3 株の培養21 日目の最終乳酸量はLAB接種量が他の微生物のそれよりも103 倍多い(図1-B:105
cfu/g)時に新鮮物中約1.5%(対糖収率100%)、他と同水準の時(図1-A)に新鮮物中約1.0%(対糖収率67 %)であったが、酵母の接種量が多い時(図1-D)には新鮮物中約0.8%(対糖収率53 %)にまで減少した。
- 自然界のサイレージ材料にはCFB や酵母の生菌数が多く、LAB はむしろ少ない。しかし、SP1-3 株やCS1-8 株を接種することによって酵母やCFB
の増殖を抑制することができ、特に酵母に対して顕著な抑制効果が認められた(図2 )
|
成果の活用面・留意点 |
- SP1-3 株は高温条件下に多量の乳酸を生産して雑菌の増殖を抑制することから、タイ国における高品質サイレージの調製に活用できる。
- また、CS 5-5 株(あるいはCS 1-8 株)は初期増殖に優れ、上記SP1-3 株と併用するとさらなるサイレージの高品質化に活用できる。
- 接種菌量は原物当り105cfu/g 程度にすることが望ましい。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
カテゴリ |
トウモロコシサイレージ
|