フタバガキ科Shorea 属6 樹種の更新は傾斜のある尾根で優れている

タイトル フタバガキ科Shorea 属6 樹種の更新は傾斜のある尾根で優れている
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2002~2003
研究担当者 Azman Hassan(マレイシア森林研究所)
落合幸仁
発行年度 2003
要約 半島マレイシアのセラヤ(Shorea curitisii) 属6 樹種の成長は、水平な尾根や斜面中腹に比べ、尾根より少し下の斜面上部で優れている。
背景・ねらい 半島マレイシアでは天然林の伐採施業は天然更新による再生を基本としているが、高木であるフタバガキ科樹種の天然更新は地形によって分布密度にばらつきがあり、特に、中腹より下の斜面ではほとんど稚樹が見られない。そのため稚樹密度の低いところには人工植栽が必要であり、どの樹種をどのような地形に植栽するかという樹種の生育適地に関する知識が必要である。本研究では、半島マレイシアの優占樹種であるフタバガキ科Shorea
属6 樹種を異なる地形に植栽し、植栽適地を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 1988 年にセレクティブ・マネージメント・システム(択伐施業の一型)に従って伐採されたマレイシア、スランゴール州スマンコック・フォレスト・リザーブ28
    林班のかく乱の大きい作業道上に試験地を設定した。セラヤが天然分布しないため伐採用作業道が作設されていない斜面下部を除き、地形に応じて水平な尾根、傾斜のある尾根および斜面中腹の3
    種類に分類し、1997 年、各地形にレッド・メランティに属するShorea 属6 樹種をそれぞれ20 本植栽した(表1
    、図1 )。
  2. 植栽後6 年間の成長は、地形と成長の関係が明らかでないセラヤを除いた各樹種とも、水平な尾根から少し下がった傾斜のある尾根に植栽された稚樹がいちばん良い(図2

  3. 樹種別に傾斜のある尾根に植栽された稚樹の樹高生長量は、メランティ・サラン・プナイが最も優れ、メランティ・タンバーガとメランティ・ランバイ・ダウンがほぼ同程度であり、それにメランティ・ケポン、メランティ・メランタイと続き、セラヤが最も少ない(図2
    )。
  4. フタバガキ科樹種の大部分は尾根に天然分布するが、水平な尾根では土壌が乾きやすいこと、斜面中腹では土壌が過湿になりやすいうえ、苗木の成長を妨げる雑草木が繁茂しやすいことなどから、傾斜のある尾根が植栽したこれら稚樹の成長に最も適していると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 人工植栽の基本である樹種と生育適地に係わる情報は、植林計画の作成に活用できる。
  2. 天然更新が困難な斜面中腹でも、人工植栽により森林の質的な回復が期待できる。
  3. 植栽木の8 割以上がコシダ、ツル植物等による被覆の被害を受けており、植栽木が経済価値のある成木に成長するためには植栽後、数年間にわたる下刈り、除伐などの保育が必要である。
図表1 214608-1.gif
図表2 214608-2.gif
カテゴリ 病害虫 雑草

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