適度の被陰は熱帯植物の定着を促し、初期保育作業を軽減させる

タイトル 適度の被陰は熱帯植物の定着を促し、初期保育作業を軽減させる
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2000~2006
研究担当者 加茂皓一
Lenim Lamalung
Jaffirin Lapongan(サバ森林研究センター) 
発行年度 2003
要約 適度にが大きくなり、さらに下刈り作業にともなう疲労が軽減し、作業時間も減少する。
背景・ねらい 多様な植物が生育している熱帯で、樹木とともに果樹、薬用植物等を植栽して育成し、収穫し、中間収入を得ながら林を育てるアグロフォレストリーは、長い年月を要する森林の育成にも、また地域社会の生活条件の改善にも寄与しうる森林育成方法である。そこで、荒廃した熱帯の緑を取り戻すための一つの試みとして、アグロフォレストリーによる混交林育成試験をマレイシア、サバ州でおこなっている。本試験では、植栽した植物の最適な生育状態を明らかにするため、種々の外来早生樹種林内(植栽間隔3
×3m)とその各種間伐地及び荒廃地二次林の帯状伐採地並びに皆伐地に各種の樹木、果樹、薬用植物を植栽し、それらの生育状態を植栽後の活着、初期成長と生育地の関係から解析するとともに、森林作業条件についても検討する。
成果の内容・特徴
  1. 熱帯の強い日射下では、皆伐地よりも、適度に被陰されるところの方が、一部の植物を除いて、樹木、果樹の初期枯死率が低くなる。特に、この傾向は被陰に耐える能力が高いフタバガキ科樹種で顕著である(図1
    )。初期成長量もフタバガキ科樹木は間伐地の方が皆伐地より大きい(表1 )
  2. サバ州で植栽されている、いろいろな樹種の中で、被陰があまり強くないアカシア林、アルビジア林、カリビアマツ林、ターミナリア林が、林内での植栽植物の生育に適していることが下層植生の再生量から推定された。植栽した植物の活着、初期成長量もこれらの林で大きかった。
  3. 植物の多様性が高く、生育が旺盛な熱帯では、森林を造成するために、植栽植物以外を取り除く、下刈りがきわめて重要な保育作業となる。森林内や間伐地では、裸地での労働に比べて、作業員の心拍数が低下し((図2
    )、その結果太陽光線による圧迫感、疲労感が軽減され(アンケート調査結果)、また作業時間も減少した(表2 )。
  4. 以上のことから、フタバガキ科などの植物に対して、適度に被陰された森林内や間伐地は皆伐地よりすぐれた初期生育・保育環境を提供する。
成果の活用面・留意点
  1. 熱帯造林の中で、価値の高い混交林の造成は大きな課題であるが、植栽後の初期段階で保護樹を利用することにより、フタバガキ科等の樹種とともに、果樹や薬用植物の生育状態が改善され、アグロフォレストリーによる混交林造成の可能性が高まる。
  2. 樹木の成長習性からみて、被陰効果は初期生育に限られ、生育が進むにつれて、被陰の除去が課題となる。
  3. 皆伐地よりも適度の被陰下に植栽することにより、保育費の中で大きな割合を占める、下刈り費の軽減が可能である。また被陰下では裸地よりも、作業員の下刈り意欲が増すことが期待できる。
図表1 214609-1.gif
図表2 214609-2.gif
カテゴリ あま

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