タイトル |
熱帯性・亜熱帯性魚類の必須脂肪酸組成の特性 |
担当機関 |
(独)国際農林水産業研究センター |
研究期間 |
2003~2005 |
研究担当者 |
A.C. Emata
E.S. Garibay(東南アジア漁業開発センター養殖部局)
V.-C. Chong(マラヤ大学生物科学研究所)
古板博文(水産総合研究センター)
尾形博
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発行年度 |
2003 |
要約 |
が重要であることが示唆された。
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背景・ねらい |
東南アジアは、エビ類の世界有数の養殖地帯であるが、マングローブ汽水域の養殖産業の一層の発展を図るため、エビ類に代わりうる経済価値の高いフエダイ類やハタ類の種苗生産技術の確立が強く望まれている。熱帯性・亜熱帯性魚類の特性に応じた種苗生産技術の開発を目的として、フィリピンおよび沖縄で採集した産業重要種の必須脂肪酸組成の特性を調べる。
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成果の内容・特徴 |
- フィリピン(熱帯)で採集した天然魚(ゴマフエダイ、アイゴ2 種、スジアラ)の卵巣ではアラキドン酸含量がエイコサペンタエン酸に比べて高い(図1
)。シロサケ(冷水性魚類)およびマダイ(温水性魚類)ではエイコサペンタエン酸含量が高く、アラキドン酸含量は低い。
- 沖縄県石垣島(亜熱帯)にて採集した天然魚(スジアラ、ハナフエダイ、ヒメフエダイ、ゴマアイゴ、イスズミ)の卵巣では、アラキドン酸含量がエイコサペンタエン酸よりも高い(図2
)
- フィリピンおよび石垣にて採集した魚類の筋肉(図3 )と肝臓においても、アラキドン酸含量がエイコサペンタエン酸よりも高い。
- フィリピンで採集したゴマフエダイ天然種苗は、人工種苗と比べてアラキドン酸が高く、エイコサペンタエン酸含量が低い(図4 )
- 上記の傾向は、極性脂質および中性脂質の両画分においてみられる。
- 卵稚仔のアラキドン酸含量が高いことは熱帯性・亜熱帯性魚類に共通した現象である。以上の結果は、冷水性・温水性魚類と比べて熱帯・亜熱帯性魚類では、卵巣の発達や卵の発生においてアラキドン酸の必要性が高いことを示唆している。また、稚仔の成長においても同様のことが示唆される。
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成果の活用面・留意点 |
- 魚体の脂肪酸組成は飼餌料の脂肪酸組成の影響を強く受けるので、餌料となる天然生物の脂肪酸組成を調査する必要がある。
- 卵稚仔の質、稚仔の成長・生残率の改善におけるアラキドン酸の実用飼料における実効性について試験研究する必要がある。
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カテゴリ |
亜熱帯
ごま
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