東北タイ・天水農業地域における水文立地解析モデルの開発

タイトル 東北タイ・天水農業地域における水文立地解析モデルの開発
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2002~2004
研究担当者 Somsak Sukchan(タイ土地開発局)
山本由紀代
鈴木研二
発行年度 2004
要約 〔東北タイ・コンケン周辺地域を対象に、日雨量を入力データとして小流域の水文過程を再現するシミュレーションモデルを構築した。このモデルに米収量推定モデルを結合することによって、流域内における面的な米収量の推定が可能である。
背景・ねらい 東北タイでは、降雨に大きく依存する天水農業が営まれており、流域内の水資源を有効に活用する方策が重要となる。そのためには、農業生産における水利用のあり方を検討するための解析ツールの開発が緊急の課題となっている。
本研究では、東北タイ・天水農業地域の小流域を対象として、水文過程(水移動・貯留動態)を再現するための分布型のシミュレーションモデルを構築する。このモデルの応用事例として、稲の収量を推定するサブモデルとの結合による流域内の稲作収量の面的な推定を試みる。
成果の内容・特徴
  1. コンケン市近郊の小流域をモデル構築サイト(約1.5?)として選定し、降雨、土壌水分、水位(水田、溜池、浅層地下水)等の観測値から天水田における水移動を推定するパラメータを得た。
  2. 衛星データ(ASTER、地上分解能15m)を用いて、土地利用、流下方向、集水面積、傾斜などのグリッド・データを作成した。タイ国土地開発局のSoil mapを再分類し、土性情報を得た。
  3. 日雨量データを入力値とし、各グリッド・セルにおける水収支から、セル内の湛水深、土壌水分、地下水位を日単位で計算する水文モデルを構築した。2003年10月下旬に測定した土壌水分データを用いてモデルの精度を検証した結果、概ね一致の傾向にあった(図1)。
  4. 本モデルにより、表面貯留、表層土層(0~0.2m)および下層土層(0.2~1m)における3次元方向の水移動が再現される。得られたパラメータから流域の水収支を計算することが可能である(図2)。
  5. 水文モデルによる湛水深の計算結果から、田植日・出穂日を推定するとともに、各生育段階における水分欠乏がイネの生育・収量に及ぼす影響を推定するサブモデルを結合した。これを用いて2002、03年の米収量を推定したところ(図3)、降雨条件に応じて2002年の方が全体的にやや収量が多く、実際の収量水準とも合致する結果であった。
成果の活用面・留意点
  1. 衛星データを利用することにより、東北タイ全域への適用が可能である。さらに、農家による溜池の水利用をモデルに組み込むことによって旱魃被害低減の効果を定量的に予測したり、土壌水分の経時変化を推定することにより乾季における水田後作の可能性を判定できる。
  2. 天水田におけるイネの作付け方法としては、移植(田植)を想定している。
カテゴリ 水田

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