乾燥誘導性の Zinc-Finger 型転写因子遺伝子を用いたストレス耐性植物の開発

タイトル 乾燥誘導性の Zinc-Finger 型転写因子遺伝子を用いたストレス耐性植物の開発
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2003~2005
研究担当者 伊藤裕介
佐久間洋
坂本秀樹
篠崎和子
春日美江
圓山恭之進
発行年度 2004
要約 〔環境ストレス時には特異的遺伝子の発現が押さえられる。遺伝子発現を押さえる働きを持つリプレッサーとして4種のZinc-Finger型転写因子の遺伝子を明らかにした。これらの遺伝子のうち
背景・ねらい 近年、砂漠化や土壌の塩類化等地球規模の環境劣化が深刻化している。また、世界各地で異常気象が報告されており、農業生産に大被害を及ぼしている。このため、突然の異常気象や劣悪環境下でも栽培可能な作物や環境保全に役立つ植物を開発することは、国際的に重要な課題となっている。環境ストレス耐性作物の分子育種は、その耐性獲得の分子機構が複雑なため研究開発が遅れている。本研究では植物の持つ環境耐性機構を分子レベルで解明して、環境ストレス耐性植物の分子育種に役立てることを目的とする。これまでに、乾燥や塩や低温ストレス時には多くの耐性遺伝子の発現が誘導されることが明らかにされている。一方、ストレス時には多くの特異的遺伝子の発現が押さえられることも明らかにされており、これらの遺伝子の機能や制御機構を明らかにすることが重要と考えられる。
成果の内容・特徴
  1. これまでに単離しているAZF1、AZF2、AZF3、STZと名付けたZinc-Finger型の転写因子をコードする遺伝子のうち、AZF2は乾燥と塩ストレスにより、STZは乾燥や塩や低温ストレスによって発現が誘導される。
  2. 大腸菌中で合成したAZF1、AZF2、AZF3、STZタンパク質はA(G/C)T配列に特異的に結合するDNA結合性タンパク質であることをゲルシフト法を用いて明らかにした。
  3. シロイヌナズナの葉肉細胞から調整したプロトプラストを用いたトランジェント発現系において、これら4種のZinc-Finger型の転写因子はリプレッサーとして機能し、標的遺伝子の発現を押さえる働きを示す。
  4. ストレス誘導性のAZF2とSTZ遺伝子のプロモーターとGUSリポーター遺伝子とを結合したキメラ遺伝子を導入した形質転換シロイヌナズナを用いて、AZF2とSTZ遺伝子が植物体の葉や根のどの組織でもストレスによって誘導されることを示した。
  5. STZ遺伝子は乾燥や塩や低温時に遺伝子発現を誘導する転写因子DREB1Aの過剰発現体で発現が上昇しており、転写活性化因子であるDREB1Aによって発現が制御されている。

  6. カリフラワーウイルスの 35S プロモーターを用いて STZ を過剰発現したシロイヌナズナ形質転換体では、生育の遅れが観察された。また、乾燥ストレスに対して高いストレス耐性が示された。リプレッサーである STZ はストレス時に標的遺伝子の発現を押さえることで、ストレス耐性を獲得すると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. STZ遺伝子の機能に関する研究成果は、環境ストレス時の生育阻害とストレス耐性の付与との関係の解明に役立つ。
  2. STZ遺伝子は環境ストレス耐性作物開発のための有用遺伝子として利用できる。
カテゴリ 育種 カリフラワー 乾燥

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