タイトル |
メコンデルタにおける米ヌカ主体豚飼料へのサトウキビ・シロップ添加効果 |
担当機関 |
(独)国際農林水産業研究センター |
研究期間 |
2004~2004 |
研究担当者 |
Luu Huu Manh (ベトナムカントー大学)
Nguyen Nhut Xuan Dung (ベトナムカントー大学)
山崎正史
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発行年度 |
2004 |
要約 |
〔米ヌカを主体とした飼料中にサトウキビ・シロップを4%添加することにより、豚の増体、
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背景・ねらい |
メコンデルタにおいて多くの豚は、米ヌカ主体の飼料を給与されている。この地域では、ヨウサイやホテイアオイ等の水生植物、サツマイモ茎葉等の農業副産物が豊富にあり、これら低利用飼料資源を飼料中に乾物当りで最大5-6%まで配合することにより、肉質の改善や飼料費の低減に役立つことが示されている(国際農林水産業研究成果情報第11号)。一方、サトウキビ副産物もしくは中間生産物は安価である上に、供給が安定しているため、養豚用飼料としての活用も期待されている。そこで本研究では、米ヌカ主体の飼料に、サトウキビ圧搾汁を濃縮した中間生産物のサトウキビ・シロップ(シロップ)を添加し、豚の増体、飼料要求率、消化率を調べるとともに、サツマイモ茎葉を過剰に配合した飼料へのシロップ添加の効果についても検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 日増体量は、シロップ4%添加により対照区と比べて有意に(p<0.05)増加した。またシロップ2%添加によっても増加する傾向を示した(表1、図1)。
- いずれの試験においても、飼料摂取量は各区間で差がなかった(図2)。飼料要求率は、シロップ2
または4%添加で有意に(p<0.01)改善され、6または8%添加でも改善される傾向が見られた(図3)。
- シロップ2または4%添加により、粗タンパク質の消化率が有意に(p<0.05)向上し、酸性デタージェント繊維の消化率も改善されることが示唆された。シロップ6または8%添加によっては、顕著な効果は認められなかった(図4)。
- サツマイモ茎葉を飼料中乾物当たり10%配合することで、増体、飼料要求率は対照区と比べて低下する傾向が見られたが、シロップ3%の添加により、いずれの指標も対照区と同等の値となった(図1、3)。
- 粗タンパク質、粗脂肪の消化率は、サツマイモ茎葉10%給与により対照区より有意に(p<0.05)低下したが、シロップ3%の同時給与によれば対照区と有意な違いはなかった。また、中性デタージェント繊維、酸性デタージェント繊維(ADF)の消化率はいずれも、サツマイモ茎葉10%給与によって有意な低下がなく、シロップの給与によりADFの消化率は有意に向上した(p<0.05
、図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- シロップは地域内で容易に入手でき、かつ、安価なため、養豚農家における利用及び普及が簡便である。
- 生産量に季節格差のあるサツマイモ茎葉を、シロップとの同時給与により従来(最多で乾物当り5-6%)よりも多量に給与できることが明らかになった。
- 試験結果の応用にあたっては、シロップの糖度に留意する必要がある。
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図表1 |
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カテゴリ |
さとうきび
豚
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