タイトル |
衛星データの時系列解析による耕作−休閑サイクルの同定と植生回復力の推定 |
担当機関 |
(独)国際農林水産業研究センター |
研究期間 |
2002~2005 |
研究担当者 |
山本由紀代
鈴木研二
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発行年度 |
2005 |
要約 |
衛星データを用いた植生被覆の時系列解析による耕作-休閑サイクルの同定と植生指数の組み合わせによって、ラオス北部などの焼き畑地帯の植生の回復力が推定できる。
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背景・ねらい |
ラオス北部山岳地域では焼き畑による陸稲栽培が行われてきたが、近年、森林保全政策や人口圧によって休閑期間が短縮されつつある。こうした耕作-休閑サイクルの変化は土地生産性や耕作体系の変化をもたらし、農民の生活に大きな影響を及ぼす。そこで、多年次にわたって観測された衛星データを時系列的に解析し、耕作-休閑サイクルを同定するとともに、休閑期間の短縮が植物生産に及ぼす影響を明らかにした。
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成果の内容・特徴 |
- 乾期(11-4月)の植生被覆を経年的に判別することで、耕地と休閑地および休閑地から耕地への転換を把握し、対象期間における耕作-休閑サイクルを同定する方法を提示した。
- ルァンプラバン県に位置する北緯20゜00’;東経101゜45’-北緯19゜30’;東経102゜30’の領域を対象に、1995年から2003年にかけて取得された8シーンのLandsat/TM・ETM+データを用いて耕作-休閑サイクルを判定した結果、66,000ha(17.3%)は一度も耕作が行われずに森林として維持されていた一方、毎年耕作が行われた41,000ha(10.7%)は水田や園芸畑と考えられ、耕作率が1-30%、31-60%、61-99%であった焼き畑はそれぞれ88,000ha(22.9%)、74,000ha(19.3%)、114,000ha(29.8%)と集計された(図1)。
- 直前の耕作年数が短期間であるほど休閑初年目の植生回復が早い傾向がみられた(表1)。
- 年次別に平均した正規化植生指数(NDVI:(Band4-Band3)/(Band4+Band3))は休閑年数にともなって増大するが、休閑地が森林と同程度のNDVIを回復するには約11年を要すると試算された(図2)。
- 休閑年数別の平均NDVIを閾値として各休閑地のNDVIを二分することにより、植生回復力のポテンシャルを表した(図3)。これによると、メコン川西岸は低ポテンシャル域が多く、休閑による地力回復能力ひいては植物生産力の衰えが懸念される。
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成果の活用面・留意点 |
- Landsat/TM・ETM+は観測データのアーカイブが充実しており、他地域においても周期性を示す土地利用を的確に把握する手法として活用できる。
- 植物生産に反映される地力の状態が広域的に捉えられ、農地利用・管理に有用な情報が得られる。
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図表1 |
214638-1.pdf |
図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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図表7 |
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図表8 |
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図表9 |
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カテゴリ |
水田
陸稲
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