アルゼンチンチャコ・フォーモサ地域における冬季の農業副産物給与による育成雌肉牛の増体重改善のための推奨給与法

タイトル アルゼンチンチャコ・フォーモサ地域における冬季の農業副産物給与による育成雌肉牛の増体重改善のための推奨給与法
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2002~2007
研究担当者 Cristina Arakaki(アルゼンチン農牧公社カステラー研究所)
Monica Gagiotti(アルゼンチン農牧公社ラファエラ試験所)
Osvaldo Balbuena(アルゼンチン農牧公社コロニアベニテツ試験所)
工藤博
発行年度 2005
要約 各種農業副産物の経済的推奨給与量と1kgの増体重に要する費用は次のようであった。
綿実:1kg/頭/日、US$0.26~0.33。小麦糠:体重の0.4%、US$0.36。 米糠:0.4%、US$0.52。綿実粕:体重の0.8%、US$0.39。生大豆:体重の0.5%、US$0.27~0.54。
背景・ねらい    亜熱帯のアルゼンチン北東部のチャコ州は主要な肉牛産地であるが、夏期は40℃以上、冬期は-7℃にもなる厳しい気象条件に加え、土壌の肥沃度も良くない。この地域の最大の問題は冬期の増体重停滞にある。従来の飼養法では、年間を通し、広大な放牧地に放牧するだけで、冬期間の増体重停滞が極めて大きく、このため出荷齢が遅く、肉質や繁殖の問題や高い斃死率が問題となってきた。そこで、この地域で使用可能な農業副産物を肉牛に給与し、これらの問題を軽減することを目的とする。    
成果の内容・特徴  これまで得られた結果から推奨する各種農業副産物の育成肉牛用飼料への応用は以下の通りである。対象は150~200kgの育成雌肉牛とした。我々の試算では、1kgの増体重に要する農業副産物がUS$0.62以下の場合、採算が取れる。
  1. 綿実;1kg/頭/日までが経済的な量である。これにより、日量200~400gの増体重となる。1kgの体重増加に要する費用はUS$0.26~ 0.33である。
  2. 小麦糠;通常はペレットで販売されており、体重の0.4%を給与した場合、日量100gの増体重が見込まれる。この場合、1kgの体重増加に要する費用はUS$0.36である。
  3. 米糠;:経済的な給与量は体重の0.4%で、1kgの増体重に要する費用はUS$0.52である。
  4. 綿実粕;体重の0.4%でタンパク質の補充として給与出来る。この場合、1kgの体重増加に要する費用はUS$0.39である。
  5. 生大豆;0.5%以下を給与した場合、1kgの体重増加に要する費用は搾油出来る大豆でUS$0.54であるが、低グレードの大豆ではUS$0.27となる。
  6. 従来の飼養法では、補助飼料給与が皆無か殆ど無しで、冬季期間の高い斃死率、肉質や繁殖の問題が存在したが、上記のような農業副産物を給与することによって、これらの問題は大きく改善されることが明らかになった。

成果の活用面・留意点
  1. 綿実は肉の味が悪くなるので、肥育最終段階では、体重の1%以上給与すべきではない
  2. 小麦糠は嗜好性が大変高く、給餌スペースを十分にとらないと、過食する個体が出、増体重にバラツキが出る。
  3. 米糠は麦糠と同様な効果をもたらすが、より高価である。嗜好性は良いが、微粉末のため、体重の1%以上給与した場合、残餌が出る可能性がある。選択の場合、価格による。市場過剰の時があるので、その時は良いオプションとなる。
  4. 綿実粕は増体重率が悪くなるので、0.8%以上は給与すべきではない。
  5. 生大豆は近年アルゼンチンでの大豆生産が増加し、チャコ州東部でも入手可能である。大豆粕の97%は輸出され、大豆粕よりも生大豆が10倍も入手し易い。体重の0.5%以上給与すると、飼料効率が悪くなるので、これ以上給与しない方が良い。高濃度での給与は飼料効率の悪化と牧草採取の減少をもたらす。大豆は市場価格の変動が大きく、選択次第では価格的にも良い補助飼料となりうる。
  6. 雌牛を5月に放牧し、牧草の量が乾物量で一頭当たり1,500kg以下にならないようにする。5月の牧草量から、放牧する雌牛の数を調節する。
  7. 上記の推奨は5月に最低乾物量で雌牛一頭当たり1,000kgの牧草を給与出来る場合に有効である。

図表1 214647-1.gif
カテゴリ 亜熱帯 小麦 出荷調整 飼料効率 大豆 大豆粕 肉牛 繁殖性改善 輸出

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