タイ東北部におけるサトウキビサイレージの肉牛用飼料としての利用

タイトル タイ東北部におけるサトウキビサイレージの肉牛用飼料としての利用
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2002~2005
研究担当者 Ittiphon Phaowphaisal (コンケン家畜栄養研究開発センター)
Werapon Ponragdee(コンケン畑作物研究センター)
西田武弘
鈴木知之(九州沖縄農業研究センター)
発行年度 2005
要約  タイ東北部においてサトウキビ(株出し6ヵ月)サイレージの可消化養分総量は49.6%(乾物あたり)であり、本サイレージと本地域の飼料資源を用いることにより、肉牛生産ができる。一般的な暖地型牧草に比べ生産性が高くサイレージ適性に優れることから、肉牛飼養規模の拡大ができる。
背景・ねらい   タイ東北部においては肉牛の大部分が小規模複合農家で飼養されている。近年、肉用牛飼養頭数は増加傾向にあり、肉牛生産農家では飼養規模拡大および生産性向上に関心がもたれている。そのようななか、天水農業プロジェクトサイトが設置されたノンセン村では、サトウキビ畑を牧草地に転換する肉牛生産農家が増えてきている。本地域で広く利用されているルジーグラスの乾物収量は15t/ha/年であるが、乾期の生育は望めないことに加え、雨期における乾草調製が困難であること、暖地産牧草は一般に可溶性炭水化物含量が低いためサイレージ品質が低いことから貯蔵も容易ではない。一方、本地域のサトウキビの乾物収量は20t/ha/年であり、貯蔵ならびに飼料化が可能であれば、牧草利用よりもサトウキビの利用の方が飼養頭数を増やせるだけでなく、一年を通した安定した肉牛生産が可能である。そこで、本地域で高い生産性をもつサトウキビをサイレージ調製し、これを用いた肉牛の育成結果を示す。
成果の内容・特徴
  1. 製糖用サトウキビ品種Utong1(株出し6ヵ月)およびパンゴラグラス(再生3ヵ月)を細断後2重のポリ袋に封入し、6ヵ月後に開封した。パンゴラグラスはタイの牧草の中では栄養価・収量とも高いが旱魃に弱いという特性を持つが、これに比べサトウキビサイレージの化学組成は同程度であり、発酵品質は優れていた(表1)。
  2. ブラーマン種去勢牛4頭にサトウキビ(製糖用品種KK1, 株出し6ヵ月)サイレージを単味給与し、エネルギー代謝試験を行った。その結果、サトウキビサイレージの可消化養分総量、可消化エネルギーおよび代謝エネルギー含量はそれぞれ、49.6%、9.7MJ/kgDM、および7.8MJ/kgDMであった(表2)。
  3. ノンセン村の協力農家において、サトウキビサイレージあるいはルジーグラス乾草(コンケン家畜栄養研究開発センターで調製)を粗飼料源とする混合飼料を用いた、ブラーマン種雄牛3頭(約18ヶ月齢)の育成試験を3ヵ月間実施した。その結果、肉牛農家でサトウキビサイレージ給与により日増体量0.9kgを達成できることが示された(表3)。

成果の活用面・留意点
  1. サトウキビサイレージは開封後の変敗が早いため、小規模なサイロの利用等により、開封後はなるべく早く使い切るように留意する必要がある。
  2. サトウキビサイレージを給与した場合の日増体量はルジーグラス乾草よりもやや劣るが、サトウキビの単収はルジーグラスの約1.3倍であり、サイレージの品質も良好であることから、サトウキビサイレージの利用によって規模拡大ならびに乾期に影響されない安定した肉牛生産ができる。

図表1 214648-1.pdf
図表2 214648-2.gif
図表3 214648-3.gif
図表4 214648-4.gif
図表5 214648-5.gif
図表6 214648-6.gif
図表7 214648-7.gif
カテゴリ 規模拡大 さとうきび 肉牛 品種

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