タイトル |
西アフリカ・サヘル帯へ導入可能なササゲ品種 |
担当機関 |
(独)国際農林水産業研究センター |
研究期間 |
2003~2006 |
研究担当者 |
B.B.Singh(国際熱帯農業研究所)
Moutari Adamou(ニジェール国立農業試験場)
松永亮一
上堂薗明
飛田哲
林慶一
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発行年度 |
2006 |
要約 |
西アフリカ起源のササゲ遺伝資源からサヘル帯に導入可能な子実・飼料生産兼用品種を選定した。選定した品種は農民が栽培している品種より子実生産能力に優れ、密植によりさらにその生産量が高まる。
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背景・ねらい |
ササゲは養分の乏しい砂質土壌が広がる西アフリカ・サヘル帯で最も重要なマメ科作物であり、その子実は地域住民の貴重な蛋白源となっている。しかしながら、その生産性は極めて低く、ササゲの持続的な生産性向上は地域の深刻な食糧問題の改善のため重要な課題の一つとなっている。とりわけ、ササゲ品種の改良と普及は投入できる資源に乏しい大多数の小規模農民にとって、最も受け入れ易い生産性向上の方法である。これまで、ササゲの品種改良は国際試験研究機関を中心に実施しされてきたが、西アフリカ・サヘル帯での研究活動は極めて低調である。本研究では、西アフリカ・サヘル帯で求められている品種改良の方向性を明らかにするとともに、西アフリカに存在するササゲ遺伝資源から地域に導入可能な有望品種を選定した。
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成果の内容・特徴 |
- ニジェール国西部のサヘル帯に位置する3農村での聞取り調査(全世帯数の約16%)の結果、多くの農民(70%)は子実と飼料(茎葉部分)ともにバランス良く生産できる子実・飼料生産兼用品種を希望しているが(第1表)、現在栽培されている品種の子実生産能力の改良がより重要であると考えている農民が大多数である(調査農民の95%)。
- 西アフリカで改良された育種系統を含むササゲ遺伝資源(約140品種・系統)をサヘル帯の低肥沃度砂質土壌で評価した結果、子実、飼料生産能力ともに優れている品種・系統は存在しなかったが、子実あるいは飼料生産能力のいずれかが優れている品種、子実と飼料生産能力が両者の中間に位置する品種が多数存在した(第1図)。
- サヘル帯に導入可能な子実・飼料生産兼用品種としてTN-28-87, TN256-87, IN92E-26を選定した。これらの品種は農民が栽培している在来品種に比べ、やや早生で、子実が大きく、子実生産能力が優れている(第2表)。
- ニジェール国西部のサヘル帯での農民圃場の調査結果から、ササゲの平均栽植間隔は、畦間261cm、株間 190cmであった。これは現地で推奨されている栽植間隔である畦間150cm、株間 75 cmよりもかなり広く、ササゲの生産を制限している大きな要因の一つと考えられる。農民が栽培しているササゲ品種は密植しても子実収量は高まらなかったのに対して、選定したササゲ品種IN92E-26は密植することにより子実収量がかなり高まった(第3表)。
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成果の活用面・留意点 |
- 選定したササゲ品種はサヘル帯のミレット-ササゲ間作体系の生産力向上に関する現地適応性試験に供試できる。
- 選定したササゲ品種の飼料生産能力は農民が栽培している品種よりも劣っている。
- 現地適応性試験では農家慣行の栽植密度を増すなど、選定したササゲ品種の潜在能力が十分発揮できるように農民レベルでの栽培法を改善する必要がある。
- 現地適応性試験では病虫害による被害など、選定したササゲ品種の現地適応性を慎重に検討する必要がある。
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図表1 |
214669-1.pdf |
図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
病害虫
育種
遺伝資源
ささげ
品種
品種改良
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