西アフリカ・サヘル帯における作物残渣還元と化学肥料施用およびササゲとの輪作によるトウジンビエ生産量と土壌有機物の持続的向上

タイトル 西アフリカ・サヘル帯における作物残渣還元と化学肥料施用およびササゲとの輪作によるトウジンビエ生産量と土壌有機物の持続的向上
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2003~2005
研究担当者 Andre Bationo(国際熱帯農業研究センター熱帯土壌生物
松永亮一
松本成夫
上堂薗明
真常仁志(京都大学)
肥沃度研究所)
飛田 哲
林 慶一
発行年度 2006
要約 西アフリカ・サヘル帯においては、トウジンビエ残渣還元と化学肥料施用を組み合わせた肥培管理を行うことにより、砂質土壌に有機物が蓄積し、トウジンビエの生産量が増加する。また、家畜飼料として利用されているササゲを輪作に組み込むことにより、土壌有機物量はさらに高まり、トウジンビエの生産量もさらに増大する。
背景・ねらい
 西アフリカ・サヘル帯に広がる砂質土壌は、他の熱帯土壌に比べ肥沃度が低く、降雨量が少なくその変動も大きいことと相まって、作物生産性は著しく低く不安定であり、食糧不足の要因となっている。土壌肥沃度の向上を通じ、サヘル帯の主要作物であるトウジンビエの生産性を増大させる試みとして、在来の有機物資源であるトウジンビエ残渣の農地還元と化学肥料の施用、ならびにササゲとの輪作を組み合わせた長期連用試験を行い、トウジンビエの生産性および土壌有機物量に対する持続的効果を明らかにした。
成果の内容・特徴
  1. 長期連用試験は、サヘル帯に位置するニジェール国の国際半乾燥熱帯作物研究所(ICRISAT)サヘル支所にて1983年から行われている。処理は前作のトウジンビエ残渣還元の有無と化学肥料施用(30-30-0 kg N-P2O5-K2O ha-1)の有無を組み合わせた4処理である。トウジンビエ穂とササゲ地上部は収穫物として圃場から持ち出した。
  2. 現地の農家はほとんど無施用でトウジンビエを栽培している。これに対し残渣還元や化学肥料施用を行うことによりトウジンビエ生産量は増大し、これらを併用すると生産量はより一層増大した(図1)。表層土壌の有機炭素量は残渣還元と化学肥料の併用で増加したが、単独および無施用では変わらなかった(図2)。なお、トウジンビエ生産量と年間降雨量には関係が認められなかった。
  3. トウジンビエ単作とトウジンビエとササゲの輪作を比較すると、残渣還元もしくは化学肥料施用した場合でトウジンビエ地上部乾物量は増加したが、無施用では増加が認められなかった(図1)。表層土壌の有機炭素量は残渣還元と化学肥料を併用した場合に増加したが、単独および無施用では変わらなかった(図2)。
  4. トウジンビエ地上部乾物重と表層土壌の有機炭素量には有意な正の相関(r2 = 0.32、P &0.01)があった(図3)。土壌有機物量の増加は土壌の生物活性や保水性、養分保持容量を通してトウジンビエ生産量向上に寄与し、これにより作物から土壌への有機物還元量がより一層増え、土壌有機物量が増加し、トウジンビエ生産量がさらに増大したものと推測される。

成果の活用面・留意点
  1. トウジンビエ残渣還元、ササゲとの輪作は資力に乏しい農民にも実施可能な技術であり、サヘル帯の食糧不足を解決できる技術要素として活用できる。
  2. 化学肥料の施用は資力のある農民に対してのみ導入できる技術である。
  3. トウジンビエ残渣は家畜の餌に利用されているため、トウジンビエ残渣の農地還元を進めるためには、ササゲ等による代替飼料の供給増大が必要である。

図表1 214670-1.pdf
図表2 214670-2.gif
図表3 214670-3.gif
図表4 214670-4.gif
カテゴリ 肥料 乾燥 ささげ 肥培管理 輪作

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