ギニアグラス−スタイロ混播草地におけるスタイロの維持管理法

タイトル ギニアグラス−スタイロ混播草地におけるスタイロの維持管理法
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2004~2006
研究担当者 塩谷哲夫(JATAK)
下田勝久
発行年度 2006
要約  ギニアグラスとスタイロ(Stylothantes capitata+S. )の種子をそれぞれ3kg/ha及び4kg/haの割合で播種造成した混播草地は,生産量がギニアグラス単播草地の1.5倍で,スタイロの種子成熟後に放牧を開始すると地下部にスタイロの埋土種子バンクが形成され,自然更新が可能となる。
背景・ねらい
 ギニアグラス(Panicum maximum)は生産性が高いため,南米の熱帯サバンナ地域で栽培が拡大しているが,無施肥条件下では生産性の低下が著しく,窒素供給源としてのマメ科牧草との混播栽培が重要な課題となっている。しかし,マメ科牧草は放牧家畜による選択採食を受けるために維持管理が難しく、永続性の高いマメ科牧草の選定と、そのギニアグラスとの組み合わせ利用法の確立が期待されている。そこでギニアグラス(品種Tanzania)と,ブラジル農牧研究公社肉牛研究センターが作成したスタイロ(品種Campo Grande,Stylothantes capitata とS. macrocephalaの混合品種)の混播草地をブラジルサンパウロ州にあるJATAK(全国拓殖農業協同組合連合会)農場内に造成し,放牧開始時期の調整によりスタイロの埋土種子バンク形成を促進し,自然更新による維持管理を図る。
成果の内容・特徴
  1. 2004年12月初旬に,ギニアグラス単播草地(播種量6kg/ha)及びギニアグラスースタイロ混播草地(ギニアグラス3kg/ha+スタイロ4kg/ha)を造成し,スタイロの種子形成前(5月22日)と種子成熟後(8月5日)に分けて放牧(全て2頭/ha)を開始し,翌年の4月初旬までそれぞれの草地で定置放牧した。そうすると,混播草地における造成後1年間の総乾物生産量は30.6 ton/haで,単播草地(20.0ton/ha)より50%有意に高まる。
  2. 種子成熟後に放牧した混播草地では,牛の排糞による種子散布が行われ,牛糞中に高密度でスタイロの種子が存在する(図1)。種子形成前に放牧した全ての草地では,糞に種子が含まれない。
  3. 種子成熟後に放牧した混播草地では、雨期直前の11月中旬に採取した土壌中のスタイロの埋土種子密度は80粒/(㎡x5cm)に達し,播種量の1/2に当たる種子が土壌中に存在する(表1)。また,雨期初めには多くのスタイロの発芽実生が見られる(25.4本/㎡)。これらの実生は、約1年後に4.6本/㎡の密度に減少するものの順調に生育し,更新可能な実生高に達する(図2)。
  4. 以上のことから,ギニアグラス3kg/ha+スタイロ4kg/haの種子割合で造成した混播草地は,単播草地より50%生産性が高く,スタイロの種子成熟後に放牧を開始すると,牛の排糞により種子散布が行われると共に埋土種子バンクが形成され,自然更新による維持更新が可能となり高い生産性が維持される。

成果の活用面・留意点
  1. ブラジルのセラード地帯を中心とした熱帯サバンナ地域で活用出来る。
  2. スタイロの実生個体が減少してきた場合は,乾季の初めに再度休牧期間を設けて埋土種子バンクの形成を促す必要がある。
  3. スタイロの種子形成を行う休牧により放牧期間が短くなるため,その年の家畜の年間総増体量は2割程落ちるが、日増体量に影響はない

図表1 214676-1.pdf
図表2 214676-2.gif
図表3 214676-3.gif
図表4 214676-4.gif
カテゴリ 施肥 肉牛 播種 品種

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