アグロフォレストリーにおける換金作物としての薬用植物ノニの有効性

タイトル アグロフォレストリーにおける換金作物としての薬用植物ノニの有効性
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2006~2011
研究担当者 Jaffirin Lapongan(サバ森林研究センター)
加茂皓一(森林総合研究所四国支所)
宮本和樹
山田毅
太田敬之(森林総合研究所)
発行年度 2006
要約  フタバガキ科等の実生苗定着促進に有効なアカシアマンギウム保護樹の林冠環境下で栽培できる換金作物を探索した結果、植栽後1年足らずで着果し、しかも年間を通じて果実を収穫できた薬用植物ノニ(Morinda citrifolia)を見出した。保護樹を間伐し光環境改善を図るほか、水はけの良い立地を植栽地に選ぶことで、より多くのノニの果実が収穫でき、アグロフォレストリー換金作物として利用可能であることが分かった。
背景・ねらい
 熱帯地域の荒廃した天然林や利用価値が低く放置された人工林を将来的に多様な植物からなる森林へ転換することを目的に、林内に様々な在来のフタバガキ科樹種や換金作物を植栽するアグロフォレストリー技術開発試験をマレーシア・サバ州で進めてきた。
 このアグロフォレストリーに関わる研究ではこれまでに、フタバガキ科等の在来樹種の多くは苗木植栽初期にある程度の被陰が必要で、アカシアマンギウム(Acacia mangium、以下アカシア)が被陰を形成する保護樹として有効であることを明らかにした。保護樹による被陰下でも栽培可能で、しかも出来るだけ早く収穫できる換金作物を見出せば、熱帯林再生に地域住民の協力を得るアグロフォレストリーの実践が可能となる。
成果の内容・特徴
  1. マレーシア、サバ州サンダカン近郊の18年生アカシア林(1.6ヘクタール、立木本数1470本)を試験地として利用し、当該林分を異なる間伐強度(無間伐区、33%間伐区、66%間伐区)で伐採し、林内にフタバガキ科等の在来樹種や果樹、薬用植物などの換金作物の実生苗を植栽し、それらの生存、成長をモニタリングした。
  2. ノニ(Morinda citrifolia、和名 ヤエヤマアオキ)が各間伐処理区に植栽された換金作物のうち、唯一植栽後1年以内に果実を収穫できる植物であることが分かった(写真1、表1)。ノニは東南アジアや太平洋諸島に広く分布する常緑低木で、その果実には糖尿病や高血圧等に薬効があるとして古くから地域的に利用されてきた。最近では、ミネラル類、アミノ酸類、各種ビタミン類が豊富に含まれることが分かり、そのジュースがサプリメントとして国際的に市場を拡大している。
  3. ノニの果実収量には間伐率と斜面地形が有意な効果を示し(誤差分布としてガンマ分布を用いた一般化線形モデル、間伐p & 0.01、斜面地形 p & 0.001、交互作用 n.s.)、斜面上部で66%間伐区に植栽されたノニが最も多い果実収量を示した(図1)。
  4. 斜面上部の土壌水分含量は斜面下部よりも年間を通じて低い値を示した(図2)。また、表層10 cmにおける土壌の透水性は斜面上部で高かった(斜面上部1.6×10-2~2.7×10-3 cm/s、斜面下部2.0×10-3~2.6×10-5 cm/s)。斜面下部の一部は雨季に一時的に冠水することもあった。これらのことから、斜面上部の66%間伐区におけるノニの収量増加には、植栽立地の水はけの良さが関係していると推察された。

成果の活用面・留意点
  1. アグロフォレストリー技術開発試験の成果はサバ州林業局が進めるベンコカ森林保護区の熱帯林再生事業に活用される予定である。

図表1 214680-1.pdf
図表2 214680-2.gif
図表3 214680-3.gif
図表4 214680-4.gif
カテゴリ モニタリング

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