熱帯低肥沃砂質土壌の可給態窒素量は吸光度測定法で推定できる

タイトル 熱帯低肥沃砂質土壌の可給態窒素量は吸光度測定法で推定できる
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2003~2005
研究担当者 鈴木香奈子
岡田謙介
林 慶一
松永亮一
松本成夫
飛田 哲
発行年度 2007
要約 リン酸緩衝液を用いた土壌抽出液の280nmでの吸光度は、西アフリカサヘル域の砂質土壌の可給態窒素量と有意な関係が認められ、また、トウジンビエの初期生育乾物重とも有意な関係が認められることから、その土地の窒素肥沃度を推定することができる。本法は分光光度計を用いた簡易で迅速な方法であり、途上国で適用可能である。
キーワード 土壌抽出液、280nmでの吸光度、西アフリカサヘル域、砂質土壌、可給態窒素量、トウジンビエ、簡易で迅速な方法
背景・ねらい 土壌の可給態窒素を測定するには、土壌を微生物活動に好適な条件で培養し、放出されてくる無機態窒素を測定する方法(インキュベーション法)が用いられるが、この方法では時間がかかる。そこで、pH7.0リン酸緩衝液により抽出される有機態窒素量を測定する方法が相関の高い簡易測定法として知られている。この有機態窒素量を簡便に推定する方法として、抽出液を280nmの吸光度で測定する方法が開発されている。
本研究は、リン酸緩衝液を用いた土壌抽出液の280nmにおける吸光度と可給態窒素量との関係およびトウジンビエの生育との関係を明らかにし、西アフリカサヘル域の低肥沃な砂質土壌に対する280nm吸光度測定法の適用可能性を示すことを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. 供試土壌は、西アフリカのニジェール国ファカラ地区の3村それぞれから表1に示した区分の場所を選び、表層0-15cmを採取した。
  2. 播種後28日のトウジンビエ乾物重と可給態窒素量(インキュベーション法)との間には有意な相関(r=0.69、1%水準)が認められる(図1)。西アフリカサヘル域の砂質土壌では、トウジンビエの初期生育は土壌の窒素供給量に影響される。
  3. 可給態窒素量(インキュベーション法)とリン酸緩衝液を用いた抽出液の280nm吸光度との間には有意な相関(r=0.77、1%水準)が認められる(図2)。この回帰式を用いて、リン酸緩衝液を用いた抽出液の280nm吸光度からファカラ地区の土壌の可給態窒素量を求めることができる。本手法は可給態窒素20mgkg-1以下の低肥沃な土壌にも対応できる。
  4. 播種後28日のトウジンビエ乾物重とリン酸緩衝液を用いた抽出液の280nm吸光度との間には有意な相関(r=0.79、1%水準)が認められる(図3)。リン酸緩衝液を用いた抽出液の280nm吸光度を測定することにより、その土地の窒素肥沃度を推定することができる。
成果の活用面・留意点
  1. リン酸緩衝液を用いた土壌抽出液の280nm吸光度測定法は、分光光度計があれば実施可能であるため、開発途上地域に導入しやすい手法である。
  2. インキュベーション法による可給態窒素量とリン酸緩衝液を用いた土壌抽出液の280nm吸光度との関係は土壌により異なると思われるため、対象地域ごとに回帰式を作成することが必要である。
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カテゴリ 簡易測定 播種

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