タイにおけるブラーマン種成去勢牛の維持エネルギー要求量

タイトル タイにおけるブラーマン種成去勢牛の維持エネルギー要求量
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2006~2011
研究担当者 Anan Chaokaur
Ittiphon Phaowphaisal
Kritapon Sommart(コンケン大学農学部)
Peerapot Nitipot
Pimpaporn Pholsen
Rumphrai Narmsilee
Somchit Indramanee(コンケン家畜栄養研究開発センター)
西田武弘
発行年度 2007
要約 タイにおけるブラーマン種成去勢牛の維持に要する代謝エネルギー要求量は457 kJ/kgBW0.75であり,代謝エネルギーの生産時における蓄積利用効率は57.4%である。これは,日本飼養標準における黒毛和種去勢牛の維持に要する代謝エネルギー要求量の470 kJ/kgBW0.75とほぼ同様の値である。
背景・ねらい
 牛の飼料給与量に関しては,タイでは現在,寒地に適応した牛のエネルギー収支データによって作成された欧米の飼養標準が利用されている。しかし,東南アジア等の熱帯・亜熱帯地域では,熱帯の厳しい自然環境に適応し選抜された地域在来牛やゼブ牛が主体であり,また飼料も熱帯・亜熱帯地域特有のものであり,実際にこれらを組み合わせて家畜のエネルギー収支を継続して測定したデータは殆ど無い。そこで,頭部をフードで覆うことによって呼吸量を24時間継続して測定できる装置を用い,本地域で利用可能な飼料を種々組み合わせてブラーマン種成去勢牛に給与し,エネルギーの出納量を測定することによって,維持に要する代謝エネルギー要求量および代謝エネルギーの生産時における蓄積利用効率を算出する。
成果の内容・特徴
  1. ブラーマン種成去勢牛4頭による,延べ20例のエネルギー出納試験を行った(実験1)。供試牛の平均体重は385kgであった。給与飼料は,カバルケード乾草およびパンゴラグラス乾草を主体とし,ココナツ粕やパーム粕を種々の割合で混合したもの(粗蛋白含量12%,飼料1~4)とした。ブラーマン種去勢牛の飼料の給与量として,体重の1.5%に相当する乾物重を設定した(表1)。試験期間中の平均気温は25.5度であった。実験1の出納成績をもとに,維持に要する代謝エネルギー量を回帰分析により求めた結果は458kJ/kgBW0.75である(BW: 体重kg)。
  2. ブラーマン種成去勢牛4頭による,延べ20例のエネルギー出納試験を行った(実験2)。供試牛の平均体重は349kgであった。給与飼料は,パンゴラグラス乾草を主体とし,乾燥キャッサバ,米ぬか,ビール粕やパーム粕を混合したもの(粗蛋白含量12%)とした。ブラーマン種去勢牛の飼料の給与量として,上記実験1より求めた維持量のみ,維持の1.4倍,1.8倍および自由採食量に相当する乾物重を設定した (表1)。試験期間中の平均気温は25.0度であった。実験2の出納成績をもとに,維持に要する代謝エネルギー量を回帰分析により求めた結果は454kJ/kgBW0.75である。
  3. 験1および2から得られた,40例全ての代謝エネルギー摂取量およびエネルギー蓄積量データ(図1)から求めた,ブラーマン種成去勢牛の維持に要する代謝エネルギー要求量は456.8kJ/kgBW0.75であり,代謝エネルギーの生産時における蓄積利用効率は57.4%である。これらは日本飼養標準における,黒毛和種去勢牛の維持に要する代謝エネルギー要求量の470.3 kJ/kgBW0.75とほぼ同様の値である。またアメリカのNRC飼養標準に示されている,欧米の種々の牛の維持に要する代謝エネルギー要求量である,401.7から543.9 kJ/kgBW0.75のほぼ中間の値といえる。
成果の活用面・留意点
  1. ブラーマン種成去勢牛の維持に要する代謝エネルギー量,および摂取代謝エネルギーの生産時における蓄積利用効率として飼料給与量の計算に応用でき,飼養標準作成の基礎数値として活用できる。
  2. 飼料資源を有効活用し飼料効率向上を図るためには,給与する飼料の栄養価に関する情報を入手し,本成果とあわせて肉牛への適切な量の栄養分を供給する必要がある。
図表1 214699-1.pdf
図表2 214699-2.gif
図表3 214699-3.gif
図表4 214699-4.gif
図表5 214699-5.gif
カテゴリ 亜熱帯 乾燥 寒地 飼料効率 肉牛

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