オイルパーム幹からの効率的燃料用エタノール及び乳酸生産法の開発

タイトル オイルパーム幹からの効率的燃料用エタノール及び乳酸生産法の開発
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2006~2011
研究担当者 小杉昭彦
森隆
村田善則
田中良平(森林総合研究所)
眞柄謙吾(森林総合研究所)
発行年度 2007
要約 伐採されたオイルパーム幹中に多量の樹液が存在し、樹液には高濃度のグルコースが含まれていることを見出した。この知見をもとに、オイルパーム幹の樹液から酵母及び乳酸菌を用いてエタノール及び乳酸を容易に効率良く生産できることを示した。
背景・ねらい
 オイルパームは東南アジアにおける代表的な農作物であるが、油脂生産性を維持するために20~25年ごとに伐採、更新される。伐採されたオイルパーム幹は木材としての価値に乏しく、大部分はプランテーション内で放置又は焼却されており、なかには薬剤注入により立ち枯れさせる場合もあり、深刻な環境汚染源となることが懸念されている。そこで、東南アジアにおける膨大な農産廃棄物である伐採後のオイルパーム幹を用いて、燃料用エタノール及び生分解性プラステック原料である乳酸を生産する方法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 伐採されたオイルパーム幹の中心から外層へ向けて3つの部分に分画し水分含量を測定したところ、中心領域、中間領域、外側領域にそれぞれ83%、75%、68%の大量の水分が含まれていることを見出した(図1)。
  2. 中心、中間、外側領域から樹液を搾汁し、糖含量および組成を測定した結果、内部ほど高濃度の糖を含有しており、中心領域の樹液中の糖含量は約10%に達し、その大部分が容易に発酵できるグルコースであることを見出した(表1)。
  3. グルコース濃度5.5%(pH6.0)に調整した中心部分からの樹液を用い、清酒酵母協会7号により発酵を行った結果、3.3wt%のエタノールを生産することができた(図2a)。
  4. グルコース濃度5.5%(pH7.0)に調整した中心部分からの樹液を用い、乳酸菌ラクトコッカス ラクティスATCC19435株により発酵を行った結果、5.0wt%の乳酸を生産することができた (図2b)。
  5. 一本のオイルパーム幹(直径40cm、長さ8mとする)の樹液には約34kgのグルコースが含まれると推定され、一本のオイルパーム幹の樹液から約17kg(22L)のエタノールと約34kgの乳酸が生産可能と考えられる。
  6. 燃料用エタノール原料として用いられるサトウキビと比較すると、オイルパーム幹には中心領域ではサトウキビの糖含有量の約7割に相当する糖分が、中間領域でも約4割に相当する糖分が含まれており、伐採後のオイルパーム幹はエタノール及び乳酸の原料として極めて有望なバイオマス資源である。
成果の活用面・留意点
  1. オイルパーム幹は直径30~60cm、長さ8~12mと巨大であるため、専用の搾汁装置の開発が必要である。
  2. タノールや乳酸を効率的に回収するために、樹液をある程度濃縮した後に発酵を行うことが望ましい。
図表1 214701-1.pdf
図表2 214701-2.gif
図表3 214701-3.gif
図表4 214701-4.gif
図表5 214701-5.gif
図表6 214701-6.gif
図表7 214701-7.gif
図表8 214701-8.gif
カテゴリ さとうきび 薬剤

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