未利用資源を活用した燃料ブロックの改良と普及方法の開発

タイトル 未利用資源を活用した燃料ブロックの改良と普及方法の開発
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2006~2011
研究担当者 松本武司
木村健一郎
発行年度 2008
要約 モンゴル国において、在来技術である家畜ふんと石炭粉を混ぜて固めた燃料ブロック技術を改良するとともに、その普及を図るため行政が仲介する普及システムを考案し実証した。その結果、地域資源の有効活用が評価され、ウブルハンガイ県の「2009年度の経済と社会開発の基本方針」において本システムが導入され、小学校や幼稚園などの公的施設で実施される。
背景・ねらい
 モンゴル国の牧民は、一般に大型家畜ふんを燃料としている。2000年、2001年のゾド(冷害)により大型家畜が減少した結果、燃料不足が起きつつある。一部ではそれを補うために、森林が違法に伐採され、森林破壊の原因の一つと考えられる。
 燃料不足を補うため、家畜ふんに石炭粉やおがくずを添加した燃料ブロックは、従来より一部の牧民により作られているが、技術的、流通上の課題があり普及に至っていない。主な課題は(1)製作技術が確立されておらず品質が不安定である、(2)品質が安定しないので確実な納入先がない、(3)遊牧するので保管場所がない等があげられ、適正な配合と成形技術の開発、これらを解決した燃料ブロックの普及システムを確立することは、牧民の経済的自立および森林保全につながると考え、普及システムを開発する。


成果の内容・特徴
  1. 減少した大型家畜ふんの代わりに、未利用資源である小型家畜ふんと石炭粉を利用する。しかし、このままではブロック形成ができないため、粘着力のある牛ふんを接着剤として配合する。配合比はモンゴルで一般的なゲルストーブが5000 kcal/kgの耐熱性能であることから、4500 kcal/kgとなるよう決定する。この燃料ブロックの製作方法の紹介ビデオ、マニュアルを作成し、県行政からソム・牧民への配布、普及に活用する。
  2. 公共施設のボイラーでは、ボイラーに利用できない石炭粉が石炭重量の20~30%も発生し、産業廃棄物(以下、産廃)として捨てられている。行政は石炭粉を無償で遊牧民に提供し、製作された燃料ブロックを買い取るシステムを考案した。買い取りを実施することで、保管場所の問題が解決し、牧民への安定的な石炭粉提供と現金収入につながる。買い取り以外は牧民の自家用の補助燃料になり、牧民による違法伐採防止に寄与する。
  3. 本普及システムを導入することによる行政側へのインセンティブには、(1)産廃石炭粉の使用による石炭使用量の削減、(2)牧民の所得向上、(3)森林保護による環境保全などがある。実例として、ウブルハンガイ県の「2009年度の経済と社会開発の基本方針(2008年12月26日、ウブルハンガイ県人民会会議決定)」において本普及システムが導入され、7ソム(郡)の学校、幼稚園および病院など公的施設で活用された。


成果の活用面・留意点
  1. 牧民の補助燃料として燃料ブロックが定着することにより、森林保護の有効な対策の一つとなる。
  2. 地域の燃料の価格を精査し、買い取り価格を適切に設定する必要がある。


図表1 214706-1.pdf
図表2 214706-2.gif
図表3 214706-3.gif
図表4 214706-4.gif
カテゴリ 凍害 未利用資源

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