タイトル |
東北タイの砂質傾斜農地における表面流出の発生メカニズムとため池の水位 |
担当機関 |
(独)国際農林水産業研究センター |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
Somsak Sukchan (タイ土地開発局)
諸泉利嗣(岡山大)
渡部洋己(現農林水産省)
濱田浩正
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発行年度 |
2008 |
要約 |
東北タイコンケン近郊の砂質傾斜農地における表面流出は、粘土層の上にある砂質土層が飽和状態になった時発生し、ため池の水位上昇と強く関連している。
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背景・ねらい |
東北タイに広く分布する砂質土壌は透水性が良く、降水は地下に浸透することが想定されるが、その一方で表面流出を貯留するためのため池も多く建設されている。本研究では、東北タイに広く分布する砂質傾斜農地での表面流出発生の定量的推定とため池の水位との関係を解析することを目的とする。
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成果の内容・特徴 |
- 試験地として、東北タイ、コンケン県のノンセン村の砂質傾斜地を選定した(図1)。低地は水田、傾斜地はサトウキビ畑で、地表面の傾斜は約3度である。試験地の地下水位はため池の底部よりも低く、ため池の貯水は地下水の影響を受けていない。
- 現地の土壌は、約1 m深まではLoamy Sand層(LS層、透水係数は10-3~10-4 cm/sのオーダー)、その下はSandy Clay層(SC層、透水係数は10-6 cm/sのオーダー)である。LS層に浸透した降水はSC層によって浸透を妨げられ、LS層に保持される。
- 降水がLS層に浸透できる水量を浸透許容量と定義して、降水が浸透許容量を超えると表面流出が発生すると仮定した解析では、表面流出は、2003年9月20日から10月20日、2004年6月17日、2004年7月20日から8月20日、2004年9月20日に発生し、測定期間中の表面流出量は374 mm(全降水の約30%)と算出される(図2)。
- ため池の水位上昇の著しい時期は、表面流出が発生している時期(6月中旬と8月以降)とほぼ一致し、砂質土が飽和状態になった時、表面流出が発生し、ため池の水位が上昇している(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 東北タイは4月から雨季が始まるが、ため池の水位が著しく上昇するのは、雨季の後半である8月以降である。雨季の前半は、ため池の貯水量が少なく、かんがいに利用できる水は少ないので、その間は地下水を補助水源として利用するなどの計画を策定する必要がある。
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図表1 |
214720-1.pdf |
図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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図表7 |
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カテゴリ |
傾斜地
さとうきび
水田
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