オイルパーム古木中の糖は貯蔵中に増加し、有望なバイオエタノール原料となる

タイトル オイルパーム古木中の糖は貯蔵中に増加し、有望なバイオエタノール原料となる
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2006~2011
研究担当者 小杉昭彦
村田善則
荒井隆益
森 隆
田中良平
山田 肇
発行年度 2008
要約 オイルパーム古木の樹液中の糖は伐採後貯蔵中に増加し、最大14~16%に達することを見出した。この発見は、伐採され利用方法のない古木が、適切な熟成により、サトウキビに匹敵するバイオエタノール資源となることを意味する。
キーワード オイルパーム古木、樹液、糖、熟成、バイオエタノール資源
背景・ねらい オイルパームは東南アジアにおける代表的な農作物であるが、油脂生産性を維持するために20~25年ごとに伐採、更新される。伐採されたオイルパーム古木は脆弱な構造により木材としての価値に乏しく、大部分はプランテーション内で破砕、放置され、なかには薬剤注入により立ち枯れさせる場合もあり、深刻な環境汚染源となることが懸念されている。そこでこの膨大な農産廃棄物である伐採オイルパーム古木を用いて、効率的な燃料用エタノールを生産する方法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. オイルパーム古木(高さ約8.6m、樹齢27年)を、地上約0.6mから伐採し、約2m60cmずつ、3等分し、保存した(気温29℃~37℃)(図1)。伐採パーム古木を0日目、1日目、7日目、15日目、30日目、60日目、90日目、120日目ごとに、12.5cm幅のディスク上にスライスし水分含量を測定した結果、水分蒸発は低く抑えられており、中心部及び中間部ではほとんど変わらず、外層部では最大20%程度減少することが判った。
  2. 120日目まで貯蔵した伐採パーム幹を中心、中間、外層部に分け搾汁し、樹液を採取した。樹液中の全糖量をフェノール硫酸法で測定したところ、すべての部分において急激に糖濃度が上昇し、30~60日間の貯蔵により中心部で最大20.2%、中間部で最大20.7%、外層部で最大18.5%に達することを見出した(図2a)。
  3. 同様に伐採パーム幹樹液中の遊離糖をHPLCで測定した結果、すべての部分で発酵可能な糖であるスクロース、グルコース、フルクトース濃度が急激に上昇し、30~60日間の貯蔵により中心部で最大16.1%、中間部で最大14.1%、外層部で最大14.5%に増加することを見出した(図2b)。
  4. オイルパーム古木を適切に熟成させた時に得られる樹液から生産可能なエタノール量とサトウキビ搾汁液からのエタノール生産可能量を比較すると、サトウキビからは 4.5~7.2kL/haであるのに対し、オイルパーム古木樹液からは 9.5~10.3kL/haである(表1)。
  5. 現在は廃棄物となっているオイルパーム古木が、極めて有望なバイオエタノール資源であることを明らかにした。
成果の活用面・留意点
  1. オイルパーム古木は直径30~60cm、長さ8~12mと巨大であるため、専用の搾汁装置を新規に開発する必要がある。
  2. オイルパームの品種並びに栽培条件の違いが糖含量に及ぼす影響を確認する必要がある。
  3. 従来種に比べ、より低く、幹が太い矮性品種の導入が近年進んでいるが、生産性が低下する樹齢25年の時点での幹のサイズと樹液量が不明である。
  4. オイルパーム古木の樹液から、マレーシア、インドネシアでそれぞれ百万kL/年以上のエタノール生産の可能性がある。
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カテゴリ 栽培条件 さとうきび 品種 薬剤

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