栽培時期等の調節によるタイ在来野菜の抗酸化性向上

タイトル 栽培時期等の調節によるタイ在来野菜の抗酸化性向上
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2006~2008
研究担当者 Peter Aun-Chuan Ooi (AVRDC)
Vorapong Tiratanakul (AVRDC)
中原和彦
鈴木正昭(AVRDC)
発行年度 2008
要約 タイの在来野菜20種の抗酸化活性は栽培時期により変動し、乾期作では暑期作に比べ抗酸化活性が高まる。バジル類では、遮光または水ストレスを与える処理により抗酸化性が低下する。栽培時期等を調節することにより抗酸化性を向上させることができる。
背景・ねらい
 抗酸化性は、健康維持に必要な野菜の重要な機能の一つであり、品質評価の重要項目としても認識が高まりつつある。タイの農村では、多様な在来野菜が伝統的に利用されており、抗酸化性の強いものが数多くある。近年では、需要が高まりから、一年を通じてこれらの野菜の生産が行われるようになってきている。しかし、在来野菜の抗酸化性が栽培時期や栽培方法によってどのように変動するのか、ほとんど知られていない。本研究では、圃場栽培における各種在来野菜の抗酸化性の季節変動と、2種のバジル類(メボウキおよびカミメボウキ)を用い、日照及び灌水条件の影響を調べた。
成果の内容・特徴

  1. 乾期(11月~2月中旬)に栽培したタイの在来野菜20種の可食部分における抗酸化活性(DPPHラジカル消去活性、μmol/gFW Trolox相当量)は、暑期(2月中旬~5月)に栽培したものに比べ総じて高かった(図1)。乾期は晴天が続くため、暑期よりも日照時間が長い。
  2. 特に、シソ科野菜であるメボウキ(Ocimum basilicum)やカミメボウキ(Ocimum sanctum )などのバジル類では、乾期作のものが暑期作のものに比べ各々3.5及び2.5倍も抗酸化活性が高かった。これらのバジル類は東南アジアで広く栽培されており、生食されたり、炒め物やスープ料理等に使われる。バジル類の抗酸化活性は高いもので150~200 μmol/gFW Trolox相当にも達し、ホウレンソウやブロッコリーなどの比較的抗酸化活性が高い温帯野菜の抗酸化活性3~5 μmol/gFW Trolox相当をはるかに上回る。
  3. メボウキ及びカミメボウキの抗酸化活性は、ネット等を用いた遮光処理により大きく低下した(図3)。また、野菜の収量も遮光処理により減少した。(対照区では各々2.0及び1.8 t/ha。50%遮光区では各々0.88及び0.77 t/ha)
  4. ポット栽培試験の結果、収穫前の2週間水ストレスをかけた条件(120 ml/pot/day, 40~70 centibar)では、水ストレスなし(240 ml/pot/day, 10~25 centibar)の場合に比べ抗酸化活性が、メボウキでは約30%、カミメボウキでは約10%低下した。
  5. 収穫後、24時間室温(30℃)で保存した場合、外観はほぼ良好であり、残存抗酸化活性はメボウキで約85%、カミメボウキでは約90%であった。これ以上保管すると、葉が萎れるとともに、抗酸化活性が急激に低下する。


成果の活用面・留意点
  1. 施肥条件や気温の影響も無視できないと考えられるので、今後検討すべきである。
  2. 収穫後は、なるべく24時間以内に流通させるのが好ましい。
  3. バジル類の抗酸化成分としては、フェノール化合物であるローズマリー酸等が知られている。

図表1 214725-1.pdf
図表2 214725-2.gif
図表3 214725-3.gif
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図表5 214725-5.gif
図表6 214725-6.gif
カテゴリ 季節変動 しそ 施肥 バジル ブロッコリー ほうれんそう ローズマリー

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