トウフ粕(乾燥)利用による和牛の低コスト肥育

タイトル トウフ粕(乾燥)利用による和牛の低コスト肥育
担当機関 栃木県畜産試験場
研究期間 1994~1994
研究担当者
発行年度 1995
要約 トウフ粕(乾燥)を中心に調整した飼料を黒毛和種去勢牛に給与したところ、発育、飼料摂取ならびに枝肉生産状況が良好で、飼料費の低減が図られたことから、トウフ粕(乾燥)の利用は低コストで高品質牛肉を生産する有効な手段と思われる。
背景・ねらい 牛肉の輸入自由化や牛肉生産の産地間競争に対応し、肉用牛経営の体質を強化していくには、生産される牛肉の高品質化と生産コストの低減が必要となっている。一方、食品製造粕類は安価で入手でき、種類によっては栄養価が高く、飼料としての有効利用が望まれている。
食品製造粕類であるトウフ粕は生産量の約7割が飼料として利用されているが、その利用法は生かサイレージによるものいずれかである。そこで、低コストで高品質牛肉を生産する技術を確立するために、乾燥トウフ粕を用いた和牛肥育について検討した。
成果の内容・特徴 供試飼料には、トウフ粕(乾燥)を中心とした製造粕類に単味飼料を混合したトウフ粕混合飼料を用いた(表1)。供試牛には同一種雄牛を父とする黒毛和種去勢牛10頭を用い、トウフ粕混合飼料を肥育全期間に給与する区(試験I区)と肥育前・中期にトウフ粕混合飼料、後期に市販配合飼料を給与する区(試験II区)を設け、それぞれ5頭を配し、両区の増体成績、飼料摂取量、枝肉成績及び経済性について検討した。
なお、試験期間は18カ月間(前・中・後期とも26週間)で、粗飼料として前期に乾草、中・後期に稲ワラを給与し、生後28カ月齢仕上げ、体重720kgを出荷目標とした。
  1. 試験開始時の平均体重はI区303.0kg,II区302.0kgで、試験終了時にはI区686.0kg,II区669.8kgとなった。発育は疾病等なく両区とも良好で、全期間の一日当たり増体量はI区0.69kg,II区0.67kgであった。肥育期別では両区とも中期での増体が悪く、出荷体重を確保できなかった。また、後期における飼料の違いによる増体の差は認められなかった。(表2)
  2. 肥育期間中の飼料摂取量には差が認められず、1日1頭当たりの濃厚飼料摂取量はI区6.4kg,II区6.7kgであり、粗飼料摂取量はI区1.4kg,II区1.5kgであった。肥育期別では、中期における粗飼料の摂取量が両区とも少ない傾向にあった。また、後期における飼料摂取量にも差は認められなかった。(表3)
  3. 枝肉成績では、I区はII区に比べて枝肉重量で22.6kg多く、ロース芯面積で3.0cm2小さく、背脂肪の厚さで0.7cm厚かった。総合的な肉質等級ではI区でA-5,B-5,A-4,B-3,B-2が各1頭、II区でA-5が1,A-4が1,A-3が2,B-3が1頭で両区にバラツキがみられた。(表4)
  4. 試験に要した飼料費はI区約136千円,II区約159千円で、慣行的な飼料給与では約184千円であり、飼料費の低減による低コスト生産を実証できた。
成果の活用面・留意点 トウフ粕(乾燥)を混合した飼料を肥育全期間に給与しても良好な発育を示し、枝肉量が確保され、生産コストの低減が実証されたが、肉質にはバラツキがみられた。中期の飼料摂取量、増体の低下が枝肉成績のバラツキに影響したと考えれ、この期間(17~23カ月齢)の飼料摂取量を高めていく飼養管理が必要と思われる。
図表1 214812-1.gif
図表2 214812-2.gif
図表3 214812-3.gif
図表4 214812-4.gif
カテゴリ 乾燥 経営管理 コスト 飼育技術 出荷調整 低コスト 肉牛

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