近赤外分光法による牛ふん堆肥・豚ぷん堆肥の成分含量推定

タイトル 近赤外分光法による牛ふん堆肥・豚ぷん堆肥の成分含量推定
担当機関 長野県畜産試験場
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 牛ふん堆肥と豚ぷん堆肥を対象に、全炭素、全窒素、粗灰分および水分の含量を近赤外分光法により推定するための「共通重回帰式」を成分ごとに作成した。各成分ともに有効性の検証における推定誤差の標準偏差が小さく、作成した重回帰式は牛ふん堆肥と豚ぷん堆肥に共通に使用可能である。
背景・ねらい 耕地に施用する家畜ふん堆肥の成分を把握し、肥効を考慮した施肥設計を行うことは、養分循環の適正化の視点から重要な技術である。しかし、家畜ふん堆肥の成分の変動幅は大きいことが知られており、その成分を簡易・迅速に推定できる技術が求められている。これまでに、乳牛由来の牛ふん堆肥を対象に、近赤外分光法により全炭素、全窒素および粗灰分を簡易・迅速に測定できることを明らかにした(土肥誌,64,669-675,1993)。
今回、さらに肉用牛由来の牛ふん堆肥と豚ぷん堆肥を加えた試料159点を対象に、近赤外分光法による成分推定のための共通重回帰式を作成し、その有効性を検討した。
成果の内容・特徴
  1. 供試試料の畜種別構成は表1に示した。試料の調製と化学分析は従来の方法で実施し、近赤外分光分析計はInfra Alyzer 500(反射光モード)を使用した。化学分析値を参考にして成分含量と畜種が偏らないように、検量線重回帰式の作成用試料106点と検量線重回帰式の有効性の検証用試料53点を分析項目ごとに選択した(表1)。
    検量線回帰式は、原波長スペクトルを説明変数(最大9波長)、化学分析値を目的変数とする重回帰分析(変数増加法)により作成した。作成した検量線重回帰式は、有効性の検証を行い、推定誤差の標準偏差が最小の重回帰式を選抜した(表2)。
  2. 最適重回帰式のデータを表2に、有効性の検証結果を図1に示した。有効性の検証における試料のレンジ、推定誤差の標準偏差から判断して、この重回帰式は農家が測定結果を施肥設計に利用するといった実用レベルであり、畜種別の試料の分布と推定誤差から判断して、牛ふん堆肥と豚ぷん堆肥に共通に使用可能である(図1)。
成果の活用面・留意点
  1. 適用できる試料の範囲は副資材として稲わら、籾がら、そばがら、おがくず、きのこ培養残渣、樹皮、牧乾草のいずれかを含むもので、腐熟度は未熟なものから完熟なものまで測定可能であり、堆積様式は、屋内堆積、屋外堆積のいずれでもよい。
  2. 原物で1.5kg 程度に縮分し、40℃で3~4日乾燥した後、粉砕( 0.3mm全通)した試料1検体あたり5~6分で乾物中の全炭素・全窒素・粗灰分含量、風乾物中の水分の4成分が同時に測定でき、化学分析法と比較してきわめて簡易・迅速である。
  3. 家畜ふん堆肥利用農家の施肥設計や堆肥製造過程における成分変化のモニタリングに利用できる。
図表1 215008-1.gif
図表2 215008-2.gif
図表3 215008-3.gif
カテゴリ 肥料 乾燥 施肥 そば 肉牛 乳牛 モニタリング

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