高冷地ソルガムに対する追肥窒素と被覆尿素肥料の効果

タイトル 高冷地ソルガムに対する追肥窒素と被覆尿素肥料の効果
担当機関 長野県畜産試験場
研究期間 1996~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 高冷地におけるソルガム栽培では6~7月の降水量が多い場合に、基肥:追肥(7月10日前後施用)=3:7の窒素施肥配分による施肥法が多収となり、被覆尿素肥料40日タイプを用いた全量基肥栽培は窒素分施栽培法と同程度の収量が確保できる。
背景・ねらい 高冷地のトウモロコシやソルガム栽培では土壌窒素発現量が準高冷地よりも少なく、施肥窒素の寄与率が大きい。しかし、最近高冷地において基肥のみの施用による栽培が目立ち、多雨年には基肥窒素が下層へ流亡し、生育中期からの窒素吸収量の不足による収量低下を引き起こしており、環境保全上も問題となっている。
そこで、ソルガムを対象に高冷地での追肥窒素の効果を検討し、さらに施肥の省力化をはかるため、被覆尿素肥料(全量基肥施用)の追肥窒素代替効果についても検討した。
成果の内容・特徴 1995年と1996年に土壌窒素肥沃度の異なる2圃場(開田村下の原圃場:無堆肥区の0~30cm深土壌の可給態窒素[30℃・28日間培養法]含量 3.9mg/乾土100g ,開田村旭が丘圃場:無堆肥区の0~30cm深土壌の可給態窒素含量6.4mg/乾土100g )において、牛ふん堆肥をaあたり300kg施用し、土壌改良資材により土壌中の交換性塩基およびリン酸肥沃度を改良した上で、施肥窒素(尿素肥料を使用)の全量を同一とし基肥と追肥の窒素施肥割合を要因とする栽培試験を行い、以下の成果が得られた。
  1. 6~7月の降水量が多い場合(1995年)に追肥窒素の効果が高く、全量基肥栽培と比較して乾物収量および施肥窒素利用率が高まることを明らかにした。本試験における分施栽培法の最適窒素施肥配分は基肥:追肥=3:7であった。(表1)
  2. 窒素分施栽培法の追肥期にあたる7月10日前後における被覆尿素肥料40日タイプ(LP-40)と被覆尿素50日タイプ(LP-50)の累積窒素溶出率は、LP-40が38%(1996年)~ 50%(1995年)、 LP-50が39%(1996年)であり、ソルガム収穫期にあたる10月上旬の累積窒素溶出率は、LP-40が91%(1995年,1996年)、LP-50が85%であった。これらの結果から、被覆尿素40日タイプが高冷地でのソルガム栽培に適する溶出特性を備えているものと判断した。(図2)
  3. 被覆尿素肥料40日タイプを用いた全量基肥栽培は、多雨年においても最適な窒素分施栽培法と同程度の収量が確保でき、追肥・中耕を省略した機械化作業体系に役立つものと考えられた。(表1)
成果の活用面・留意点 適量を超えた窒素施肥は収穫物の硝酸態窒素濃度を必要以上に高める恐れがあるので、基肥は地域における窒素施肥基準全量の3割、追肥は7割程度にとどめる。
図表1 215251-1.gif
図表2 215251-2.gif
図表3 215251-3.gif
カテゴリ 肥料 機械化 省力化 施肥 ソルガム とうもろこし 土壌改良

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる