根系の迅速調査法の開発とレタス、ハクサイの根の分布

タイトル 根系の迅速調査法の開発とレタス、ハクサイの根の分布
担当機関 長野県中信農業試験場
研究期間 1996~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 根系の迅速調査法を開発した。これは土壌サンプルを煮沸して根と土を分離し、交点計数板を用いて根長を計測するもので、従来法に比べて測定時間が大幅に短縮される。本法によればレタスの収穫時の根長は1200~1500m/株、ハクサイの根長は約5500m/株であった。
背景・ねらい 環境保全型農業推進の1つの柱として、肥料の利用率向上による、環境負荷低減技術の開発が求められている。このためには養分吸収を行う根系の分布、機能を知ることが不可欠であるが、研究は進んでいない。そこで、根系調査法の迅速化を行い、根の基礎的な情報を得ようとした。
成果の内容・特徴
  1. 根系調査:平成7~8年にレタス、ハクサイを表層腐植質黒ボク土壌において施肥法を変えて栽培した。作物の1株占有面積の1/4の土壌を約0.3~0.7L容のブロックに分けて一定の深さまで掘り(図1)、これに0.3L程度の熱湯を加え、電子レンジで5分間煮沸、0.1mmのメッシュ等を用いて水洗し、根を土および有機物残滓から分離した。分離した根は2000rpmで1分間遠心脱水して新鮮根重として計測、一部を家庭用染料(ダイロン)で黒く染色してメッシュ上に散らし、交点法で根長を測定した。交点法は、新たに考案した交点計数板を用いて行った。この根-土分離法は、これまで困難であった根の回収が短時間で行え(15分/ブロック)、根長測定法も従来の交点法の半分の時間で行える。(2.5分/A4版の大きさ)。
  2. 根長・根重(収穫時):レタスの根長は、約1200~1500m/株であり、比根長(根重1g当たりの根長)は、300~400m/g根重(全生育期間)、根部乾物重は地上部重の13%であった。一方、ハクサイの根長は、約5500m/株であり、比根長は、800~1000m/g根乾物、根部乾物重は地上部重の4%であった(表1、図2)。
  3. 根の土層内分布:レタス、ハクサイともに、表層から30cmまでの膨軟な土層に全根長の80~90%が展開していた(収穫時)。それ以下の緻密な土層では、根量は激減したが、その度合いは無窒素区の方が窒素施肥区より小さかった。また、レタスの無マルチ区では、土壌の表層10cmには全根長の20%しか分布していなかったのに対し、マルチ区では、60%が分布していた。(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 根長は、主根、分岐根についてのものであり、根毛は含んでいない。
  2. 前作の作付けから半年以上おいて試験を行えば、前作物の根が減少し、その除去が容易になる。
  3. 本手法は、火山灰土壌、沖積土壌で使用可能であることを確認しているが、他の土壌では、未確認である。
図表1 215255-1.gif
図表2 215255-2.gif
図表3 215255-3.gif
図表4 215255-4.gif
カテゴリ 肥料 環境負荷低減 施肥 はくさい レタス

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