タイトル |
水稲St No.1由来の穂いもち圃場抵抗性遺伝子Pb-st(t)の染色体上座乗位置の特定 |
担当機関 |
愛知県農業総合試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
水稲系統St No.1に由来する穂いもち圃場抵抗性は、単一の優性主働遺伝子によって発現する。この抵抗性遺伝子をPb-st(t)と仮称する。Pb-st(t)は第11染色体の上腕部に座乗し、イネ縞葉枯病抵抗性遺伝子Stv-biと13.8cMで連鎖している。
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背景・ねらい |
中国農業試験場が育成したイネ縞葉枯病ウィルス(RSV)抵抗性の水稲中間母本St.No.1に由来するRSV抵抗性品種月の光(いもち病真性抵抗性推定遺伝子型Pi-i)、朝の光(Pi-a, Pi-i)及び姉妹系統は、穂いもち圃場抵抗性が強いことを報告した(関東東海農業の新技術8号1992)。この穂いもち圃場抵抗性の遺伝様式と染色体上の座乗位置を特定する。
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成果の内容・特徴 |
- St No.1に由来する穂いもち圃場抵抗性は、F1で優性を示す(図略)。穂いもち圃場抵抗性の強い朝の光と抵抗性の劣るコシヒカリとのF3系統の抵抗性の分離比は、朝の光型:中間型:コシヒカリ型が1:2:1であり、この穂いもち圃場抵抗性は1つの主働遺伝子により発現している。(表1)
この抵抗性遺伝子をPb-st(t)と仮称する。
- RFLP分析により、Pb-st(t)は第11染色体の上腕部にあり、RSV抵抗性遺伝子Stv-biより13.8cM上方に座乗している。(図1)
- Pb-st(t)は、RFLPマーカ-ST723(RGPより分譲)及びCDO226(Cornell Univ.より分譲)と遺伝距離9.4cMで連鎖している。(図1)
- ST723のバンドパターンは、RSV抵抗性品種・系統の穂いもち抵抗性の強弱と符合しており、この分子マーカーを利用してPb-st(t)の選抜が可能である。(表2)
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成果の活用面・留意点 |
- Pb-st(t)は葉いもちに対しては強く発現しないが、穂いもちに対して強く発現する。
- 本遺伝子は現在のところ抵抗性崩壊がみられない。しかし単一の主働遺伝子による発現であるため、常発地などではこの抵抗性遺伝子を侵す菌の発生に十分留意する。
- 分子マーカ-ST723を用いたPb-st(t)の選抜においては、9%程度の検定誤差が生ずる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
いもち病
縞葉枯病
水稲
抵抗性
抵抗性遺伝子
抵抗性品種
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