タイトル |
硫黄燻蒸かんぴょうと無燻蒸かんぴょうの比較 |
担当機関 |
栃木県食品工業指導所 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
硫黄燻蒸かんぴょうと無燻蒸かんぴょうを比較すると、無燻蒸かんぴょうは、水煮した場合柔らかくなるのが早く、調理後も細胞構造が崩れにくい特徴が認められる。
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背景・ねらい |
栃木県特産のかんぴょうは、夕顔の未熟果をひも状に剥き乾燥させたものであるが、その生産工程で硫黄燻蒸が普及し盛んに行われてきた。硫黄燻蒸処理は、カビ・害虫の発生を防ぎ保存性を高める効果や、漂白作用により褐変を防ぎ白さを保持する効果がある。しかし、最近の健康志向の高まりや食味の追求などで、硫黄燻蒸をしない無燻蒸のかんぴょうも一部生産・販売されている。そこで、無燻蒸かんぴょうと燻蒸かんぴょうを比較し、それぞれの加工特性を活かしたかんぴょう製品の製造及び高品質・高級化製品を製造するための基礎的データを得る。
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成果の内容・特徴 |
8月中旬から下旬に収穫・乾燥され、約2ヶ月冷蔵保存したかんぴょう(品種:河内白)を供試した。乾燥方法の違いにより天日乾燥(無燻蒸)、除湿乾燥(無燻蒸:除湿乾燥機使用)、硫黄燻蒸の3処理区を設け、物性・成分等を比較した。ただし、硫黄燻蒸したものについては、実際に食べるときのように硫黄を抜くために少量の塩でもみ、10分間浸水を行う(無燻蒸では必要ない)処理区も設けた。結果を以下に示した。
- かんぴょうの表面を電子顕微鏡で観察したところ、燻蒸かんぴょうは無燻蒸かんぴょうに比べ表面が収縮していた(写真1)。これらを水煮した後に観察してみると、燻蒸かんぴょうは、無燻蒸より細胞が崩れている部分が多かった。
- 燻蒸かんぴょうは、無燻蒸かんぴょうに比べ吸水量が多かった(図1)。
- 水煮した場合、無燻蒸かんぴょうは燻蒸かんぴょうと比べ早く柔らかくなった(図2:全研製テクスチュロメーター、V型プランジャー、クリアランス1mmで測定)。
- 燻蒸かんぴょうでは、調理前に行う塩もみ浸水中に遊離糖及びアミノ酸は、ほとんど失われた(図3に遊離糖のみ表示)。
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成果の活用面・留意点 |
- 食品企業・農産加工所・生産者等に冊子の配布など情報提供を行っている。
- これらの特性を活かした製品製造が課題。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
害虫
加工
加工特性
乾燥
品種
良食味
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