タイトル | IgGを利用したSPF豚衛生管理技術の検討 |
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担当機関 | 静岡県中小家畜試験場 |
研究期間 | 1998~1998 |
研究担当者 | |
発行年度 | 1998 |
要約 | SPF豚における日齢によるIgG濃度の経時的変化および疾病感染の影響について調査した。その結果、SPF豚の加齢によるIgG値の推移傾向が明らかになった。また、汚染(コンベンショナル)農場在来豚および異常豚(疾病感染豚)のIgG値は、SPF農場在来豚および健康豚のIgG値よりも高値を示した。 |
背景・ねらい | 馬などにおいては血液や乳汁になどに含まれる免疫グロブリンの主要成分であるIgG濃度は、事前に測定することにより疾病予防や治療指針の決定または遺伝病の一つである免疫不全症の摘発などに利用されている。そこで今回は、この技術をSPF環境の豚の衛生管理技術として応用するため当場のSPF豚のIgG値について調査を行った。 |
成果の内容・特徴 | 1)日齢別の血清中IgG値の推移:健康豚61頭を用いて調査した加齢による血清中IgG値の推移を図1に示した。生後1週齢までは、母豚からの移行抗体により、平均24.47mg/mlとIgG値は高く推移したが、その後は徐々に低下し、30日齢になると、平均6.38mg/mlと最低値を示した。また、30日齢以降から成豚になるに従い能動免疫が発達し、外界の感作によりIgG値は徐々に上昇する傾向にあった。 2)SPF豚と汚染コンベンショナル豚のIgG値の比較:SPF豚(10頭)と汚染コンベンショナル豚(19頭)の日齢別血清中IgG値の比較を図2に示した。能動免疫の発達する30日齢以降では、双方共に外界の感作によりIgG値の上昇が認められた。全体的にSPF豚のIgG値の方が汚染コンベンショナル豚に比べ低く緩やかに上昇する傾向にあった。一方、汚染されたコンベンショナル豚(アクチノバシラス症発生)は、60日齢より急激にIgG値が上昇し、全体に高く推移する傾向にあった。このような傾向になる理由の1つとして農場の清浄レベルが関与していると考えられた。 3)健康豚と異常豚のIgG値の比較:健康豚(9頭)と異常豚(1頭)の日齢別血清中IgG値の比較を図3に示した。その結果、異常豚(関節炎)では27日齢までは健康豚と同様なIgG値の推移を示したが、34日齢より急激なIgG値の上昇が認められ、健康豚に比べ明らかに高値を示した。その後、異常豚について病性鑑定をしたところ、細菌性関節炎と診断された。したがって疾病感染の摘発にも有効であると考えられた。 |
成果の活用面・留意点 | 1)疾病感染豚の摘発に有効である。 2)IgG値の測定により農場の総合的な衛生レベルを把握できる。 3)一般農場での応用のためにもキットの普及や装置の充実が望まれる。 4)衛生管理技術として利用するためには、より多くのデーターの蓄積を必要とする。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 馬 管理技術 豚 |