タイトル |
未利用資源の養豚飼料化―パン屑利用農家の実態調査― |
担当機関 |
埼玉県畜産センター |
研究期間 |
1997~2001 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
パン屑の給与農家を調査したところ、肥育成績、と体成績、肉および脂肪の質は特に問題なく、飼料費の低減による経済効果が認められた。パン屑発生量の季節的変動に対処するため、パン屑飼料の保存性向上と地域ぐるみでの活用が必要。
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背景・ねらい |
利用価値の高い、食品工業副産物を養豚用飼料の原料としてリサイクルし、飼料費の低減を図る。平成9年度はパン屑利用農家の実態を調査し、主としてパン屑利用による経済効果を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 県内におけるパン屑の正確な発生量は把握できなかったが、製パン工場の製造量から年間、概ね3000tと推定された。ただ、発生量に季節的変動を伴うことから、かなり無駄にしている部分も多く、地域ぐるみでの活用が示唆された。
- パン屑配合飼料の内容は食パン、鰹節粕、もみがら、くず大豆及びアミノ酸等であり、食パンの配合割合は現物で68%であった。
- パン屑配合飼料の製造単価は17円68銭/Kgであり、市販配合飼料単価のおよそ48%程度であった。
- パン屑配合飼料の保存性を確認したところ、大腸菌群は未検出であったが、野積み保管による腐敗、かびの繁殖から、長期の保存には問題があると考えられた。
- 肥育試験の結果、1日1頭あたり増体重、飼料消費量及び飼料要求率ともパン屑配合区と市販配合区との間に差はなく、また、出荷体重及びと体重量にも差はなかった。
- と体の背脂肪厚さは、パン屑配合区が市販配合区よりやや厚い傾向はみられたものの、統計的な有意差は認められなかった。
- 肉の成分については、統計的に有意な差は認められなかったが、パン屑配合区のタンパク質は低く、脂質及びエネルギー価が高い傾向にあった。また、腎脂肪の融点及び不飽和脂肪酸割合は、軟脂と判定される値ではなかった。
- 食味テストの結果、パン屑配合および市販配合を給与した豚肉を判別することはできなかった。
- 経営収支を生産物価格(枝肉販売価格)と生産費(飼料費+素豚費)との差で比較すると、パン屑配合利用農家は1頭あたり、およそ 2.5倍収益性が高く、飼料単価の差によっていた。
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成果の活用面・留意点 |
食パンくずの利用については、すでに一部の農家において実用化段階にある。今回の実態調査から、パンくず利用農家における飼料費低減が、そのまま経営収支の向上につながることが明かとなった。このことは、自家配合飼料の選択肢を大きく拡げるとともに、他の未利用資源と組み合わせることにより安価で、栄養バランスのよい肥育用飼料を作り得ることを示している。しかし、原料の入手に季節的な変動が生じるため、ビニール袋に密封するなど保存性を高めることにより、安定的な飼料化が望める。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
経営管理
出荷調整
大豆
繁殖性改善
豚
未利用資源
良食味
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