ツマグロヨコバイ耐虫性を持つ水稲良食味複合抵抗性品種「大地の風」

タイトル ツマグロヨコバイ耐虫性を持つ水稲良食味複合抵抗性品種「大地の風」
担当機関 愛知県農業総合試験場
研究期間 1999~1999
研究担当者
発行年度 1999
要約 水稲「大地の風」は、多系交配によってツマグロヨコバイ耐虫性、縞葉枯病抵抗性、穂いもち抵抗性を導入した中生の複合抵抗性品種である。良質、多収に加え、炊飯米は粘りがあり極く良食味である。また、太茎・強稈、穂発芽性「難」で栽培しやすい。平たん部向き奨励品種として平成12年愛知県で採用予定である。
背景・ねらい 愛知農総試では昭和30年代末からイネ縞葉枯病抵抗性の導入を開始し、イネ萎縮病についても県下での被害発生を契機に昭和40年代半ばから抵抗性育種を試みてきた。このツマグロヨコバイ耐虫性、縞葉枯病抵抗性、穂いもち抵抗性を多系交配によって同一系統に導入し、低農薬栽培が可能な良質、良食味で栽培安定性の高い複合抵抗性品種の育成を目標とした。
成果の内容・特徴
  1. 複合抵抗性品種育成を目標として、昭和61年に「育D759(愛知80号)」を母本、「あ系426(あかね空)」を父本として交配を開始した。その後「愛知77号」、「月の光」、「愛知78号(葵の風)」、「あ系558(祭り晴)」をそれぞれ母本とし、BnF1を父本として連続戻し交配した。平成元年に交配を完了し、平成5年から「愛知96号」の地方系統名を付して試験を行い、平成11年の世代はF11である。
  2. 「葵の風」に比べ、早植栽培では出穂期が同じで、成熟期が1日遅い。普通期栽培では出穂期、成熟期が1日早い。愛知県の熟期区分では「中生種」である(表1、以下同)。
  3. 稈長は「葵の風」並みの中稈であるが、穂長は 0.4~1.1cm長い。穂数は「葵の風」並みかやや多く、草型は偏穂重型に属する。
  4. 稈の太さはやや太茎で、耐倒伏性は「強」である。穂発芽性は「難」である。
  5. 葉いもち抵抗性は「中」だが、穂いもちは「強」で、縞葉枯病には「葵の風」と同様の抵抗性を持つ。更に、ツマグロヨコバイ耐虫性遺伝子Grh3(t)(萎縮病抵抗性)を持ち、白葉枯病は「やや強」である。
  6. 玄米千粒重は「葵の風」より1g程度大きく中粒である。外観品質は、腹白・乳白米の発生が少なく良質である。
  7. 収量は「葵の風」や「あいちのかおり」より多収である。
  8. 食味は、粘りがあり極めて良い。
成果の活用面・留意点
  1. 温暖地平たん部の早植~普通期栽培地帯に適する。愛知県の平たん部を対象に奨励品種として採用予定であり、普及予定面積は1,000haである。
  2. 病害虫複合抵抗性品種として減農薬栽培に向き、やや太茎、強稈で倒伏しにくいが、多肥や密植を避けた健全栽培を前提とする。
  3. ニカメイガや紋枯病の多発地では適正防除が必要である。
図表1 215955-1.gif
カテゴリ 病害虫 育種 萎縮病 害虫 縞葉枯病 水稲 抵抗性 抵抗性品種 ニカメイガ 農薬 品種 防除 良食味

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