タイトル |
高冷地における畑地そばの肥培管理技術 |
担当機関 |
長野県中信農業試験場 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
そばの安定多収には、リン酸と窒素に重点をおいた施肥や、輪作体系に組み入れた栽培が有効である。施肥量の多い野菜後の1作目は無施肥でも良いが、養分吸収量の多い飼料作物の後作や、そばを連作する場合には、標準量の施肥を行う。
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背景・ねらい |
そばは土壌を選ばず痩せ地でもある程度の収量が得られることから、無施肥で栽培されることも多い。しかし、連作や遊休荒廃地対策としての栽培も行われている昨今の状況下では、適切な肥培管理が行われていないことも、収量を不安定にしている一因であると考えられる。そこで、作付体系が異なる種々の圃場において、施肥条件をかえて栽培したそばの生育・収量等を比較することにより、前作物の種類に応じた少肥作物としてのそばの肥培管理技術を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- そばの生育・収量に及ぼす肥料三要素間の影響の大きさは、リン酸>窒素>カリの順で、特にリン酸欠如の影響が大きいのに対し、カリ欠如の影響は小さい(表1,表3)。
- カルシウム・マグネシウムの施用効果は、3年6連作の範囲では認められない(表2,表3)。
- 前作に堆肥等が投入される作物を配置した輪作体系にそばを組み入れた栽培は、安定多収に有効である(表3)。その場合、野菜後は無施肥でも良い(表2)が、とうもろこしやソルガムの後作では、施肥を行った方が良い(表3,とうもろこしの後作についてはデータ省略)。
- 土壌の肥沃度が比較的高いと考えられる条件下でそばを連作した場合、3年6連作の範囲では、連作に伴う子実収量の低下は認められない(表2)。しかし、無施肥でそばを連作すると、三要素肥料を施用した場合に比べ、子実収量は低下する(表2,表3)。
- 堆肥のみ(100kg/a・春1回)を施用した場合の子実収量を、三要素無機質肥料のみを施用した場合と比較すると、春播き栽培では同等であったのに対し、夏播き栽培では低下しており、収量の安定性の点からは、堆肥を施用した場合でも、三要素無機質肥料を併用するのが良いと考えられる(表2)。
- そばの倒伏は施肥よりも気象(台風等)の影響を受けやすい。倒伏回避のために施肥を控えることは、減収につながる(表2,表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 前作物の種類に応じた畑地そばの施肥管理技術として、長野県下全域の黒ボク土地帯に普及する。
- そばの標準的な施肥量は、a当たり成分量で、窒素0.2~0.5kg、リン酸0.2~0.5kg、カリ0.2~0.4kgである。
- そばは生育が速いので抑草効果が大きい。雑草防除上は30cm程度の狭い畦幅での栽培が有効である。この畦幅では中耕・培土はできないが、播種直前に十分な砕土を行い、出芽の揃いを均一にすれば、一般的に除草の必要はない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
肥料
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雑草
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飼料作物
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