採胚直後のPGF2α投与による牛胚の効率的採胚技術

タイトル 採胚直後のPGF2α投与による牛胚の効率的採胚技術
担当機関 三重県科学技術振興センター
研究期間 1998~1999
研究担当者
発行年度 1999
要約 採胚直後の牛にPGF2αを投与し、卵巣内の複数の黄体を人為的に退行させた結果、採胚後の発情回帰が早くなった他、年間採胚回数が57%、採胚総数が53%、正常胚数が65%増加する。
背景・ねらい 受精卵移植技術が普及して既に十数年が経過したが、牛1頭からの年間胚採取回数や1採胚当りの回収胚数・正常胚数はあまり向上していない。このため採胚直後の牛にPGF2α(プロナルゴン 5ml)を筋肉内投与して黄体を人為的に退行させ、発情回帰の早期化を図ると共に、発情回帰後は直腸検査を行い、良好な黄体があれば、その後の発情周期の観察を待たずに過剰排卵処理を再開した。黄体が不良と診断した場合は、次発情以降で黄体が良好に発育するまで待った。この様に、発情回帰日数および発情周期の観察に要する日数を短縮させ、年間採胚回数を増加させることにより正常胚数の増加を図った。過剰排卵処理法はFSH計15AUを1回/日×3日間漸減投与(7AU,5AU,3AU)し、3日目の投与はPGF2α(クロプロステノ-ル 0.7mg)と混合し、筋肉内投与した。また採胚牛の加齢に伴い正常胚数が減少する傾向があるため、何歳までが採胚に適しているかについても合わせて検討した。
成果の内容・特徴
  1. 採胚後のPGF2α投与により、年間の採胚回数、回収胚数、正常胚数ともに向上する傾向が見らる。1頭当りの年間平均成績をみると、投与区は採胚回数4.8回で無投与区に比べ60%増加、回収胚数は45.5個で56%増加、正常胚数は34.5個で63%増加する(表1)。
  2. 採胚後の発情回帰日数は、投与区で平均14.0日となり、無投与区29.8日に比べて有意に短縮する。また投与区は無投与区に比べ、発情回帰日数のばらつきも少ない傾向が見られる(表2)。
  3. 採胚回数は、投与区となった年度において増加傾向が見られる(表3)。
  4. 供胚牛の供用期間については、3~4歳齢までは回収胚数ならびに正常胚数とも多く、回収胚中に占める正常胚数の割合も高い傾向が見られる。しかし5歳齢以降になると回収胚数、正常胚数ともに減少傾向を示す牛が多く、かつ個体間や年度間のバラツキが大きくなる(表4)。
成果の活用面・留意点
  1. 体内受精胚の低コスト化ならびに供胚牛の効率的飼養に活用可能
  2. 供胚牛に給与する飼料成分の計算は行っていない。
図表1 216002-1.gif
図表2 216002-2.gif
図表3 216002-3.gif
図表4 216002-4.gif
カテゴリ 受精卵移植 低コスト

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