タイトル |
温度、土壌水分、耕耘がイチビの出芽に与える影響と発生パターン |
担当機関 |
三重県科学技術振興センター |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
イチビは温度で15℃以上、土壌水分で25~55%の水分域で発芽勢が高い。自然条件では降雨の2~3日後に発生が増加し、その傾向は約1ヶ月間続く。また、その後の耕耘の刺激により再度、出芽のピークが訪れ、10月中下旬までは出芽する。
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背景・ねらい |
トウモロコシ畑を中心に問題となっているイチビの防除対策として、除草剤を用いた化学防除技術が確立されつつある。一方、環境保全型農業として除草剤の過剰な依存を軽減することが重要な課題となっている。そこで、イチビの出芽に関する要因や種子生産性を調査し、除草剤使用を低減した耕種的防除技術を確立するために調査する。
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成果の内容・特徴 |
- イチビの発芽可能温度域は広く、最低温度は7℃前後であり、15℃以上で発芽勢が高い。また、土壌水分については極度な乾燥状態である10%程度では発芽しないが、20%程度の土壌水分では発芽が可能であり25%以上で発芽勢が高い。但し、55%以上の極端に湿潤な土壌条件では発芽もしくは出芽はしない(図1)。
- イチビは適切な温度や土壌水分が得られたときに出芽するが、作物(トウモロコシ)栽培下においては、一般的に土壌処理剤を用いて抑制する。この場合、土壌有機物含量が多いほど薬剤の効果は劣る(表1)。
- 耕耘後、自然条件下におけるイチビの出芽は3月下旬(日平均気温10℃弱)から開始し、その発生は降雨の2~3日後に増加する。この傾向は約1ヶ月間続き、その後は、10mm以上の降雨の後にも出芽のピークは訪れない(図2)。
- 耕耘後に出芽が約1ヶ月間続いた後、再度圃場を耕耘すると新たに出芽が開始し、同様に約1ヶ月間は出芽が続く。この傾向は10月下旬までも続くが、11月中旬以降の耕耘では出芽することはない(図3)。以上のようにイチビは出芽温度域が広く耕耘の刺激で休眠が覚醒することから、3月下旬~10月下旬までの長期間にわたって出芽が可能である。
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成果の活用面・留意点 |
- トウモロコシ播種前の耕耘時期や収穫後の耕耘回数により、埋土種子を減少させる栽培体系の検討に利用する。
- イチビの埋土種子量を減少させるとともに、新たな種子を生産させないための栽培、作付体系を検討する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
乾燥
栽培体系
除草剤
とうもろこし
土壌処理
播種
防除
薬剤
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