実生ワルナスビの生育及び栄養繁殖能力の獲得時期

タイトル 実生ワルナスビの生育及び栄養繁殖能力の獲得時期
担当機関 三重県科学技術振興センター
研究期間 1999~1999
研究担当者
発行年度 1999
要約 実生ワルナスビは出芽後30日頃から急速に伸長し、出芽後5日目の双葉展開時期に地上部が切断されても再生能力がある。さらに、出芽後30日目の地表面から10cmまでの平均根径が1~1.5mmに達した根では萌芽能力も有する。
背景・ねらい 多年生雑草ワルナスビは圃場に定着すると防除が非常に困難であるが、圃場への最初の侵入は主に輸入飼料に混入した種子によるものと考えられる。そこで、実生ワルナスビの生育と、その後の栄養繁殖能力の獲得時期を調査し、今後の防除技術確立のための資料とする。
成果の内容・特徴
  1. ワルナスビの種子は10~15日(平均気温:20℃)程度で出芽し、出芽後30日目頃から地上部、地下部とも急速に伸張する(図1)。
  2. 実生ワルナスビは50%遮光条件下では地上部、地下部とも無遮光条件と同等以上に生育するが、75%以上の遮光条件下では生育は極端に劣る。しかし、95%遮光条件下においても播種後95日目には主根長は約40cm(平均径1.8mm)まで伸長する(図2)。
  3. 実生ワルナスビの主根は出芽後5日で3cm、18日で6cm、30日では35cmとなり、分枝根を出しながら栄養貯蔵器官として増大していく(図3)。
  4. 実生ワルナスビは出芽後5日目の幼少個体(図3)でも地上部を切断した場合、地上茎(シュート)を再生することができるが、25日目頃までは根部(平均根径1mm以下)に栄養繁殖器官としての萌芽能力はない(表1)。
  5. 出芽後30日目になると地表面~10cmの主根の切断根片(平均径1.5mm)は萌芽可能となるが、その下部(10~20cm)の平均径0.8mmの切断根片では萌芽能力はない。40日目以降では地下10~20cmの切断根片でも萌芽能力を有するようになる(表1)。従って、ワルナスビの切断根片(長さ10cm)は平均径が約1~1.5mm程度に生育すれば栄養繁殖能力があると推察される。
成果の活用面・留意点
  1. ワルナスビの繁殖戦略が明らかになり、防除対策確立のための資料として活用できる。
  2. ワルナスビの発芽、生育は温度によって異なるため、栄養繁殖能力の獲得時期も発芽時期によって異なる可能性がある。
  3. ワルナスビは種子繁殖した場合でも、初期段階から驚異的な繁殖能力を有することから、発芽能力を有する種子を圃場内へ絶対に侵入させないことが必要である。
図表1 216006-1.gif
図表2 216006-2.gif
図表3 216006-3.gif
図表4 216006-4.gif
カテゴリ 病害虫 雑草 なす 播種 繁殖性改善 光条件 防除

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