タイトル |
中小規模向きの自走式ベールグリッパ |
担当機関 |
三重県科学技術振興センター |
研究期間 |
1998~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
トラクタを用いないロールベールのハンドリング機械として3輪自走式ベールグリッパを開発した。本機はグリップ部でロール(φ1m)を把持してリフトアームを上昇させるだけで、フィルム密封後のロールでも縦置き2段積みが可能である。
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背景・ねらい |
高品質な粗飼料の低コスト生産技術の一つとして、ロールベールサイレージ体系は近年急速に普及してきた。そこで、大型機械を保有しない中小規模の畜産農家におけるロールベールの機械化体系の1つとして、直径1m程度のロールベールを対象とした簡易ベールグリッパの開発を行った。
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成果の内容・特徴 |
試作したベールグリッパは1対の後輪(1軸2輪)を駆動輪とし、その前方に左右の前輪からなる台車部に、油圧で昇降するリフトアームと把持部(グリップ部)を装設した変則3輪の自走式ベールグリッパである(図1)。
- 本機の台車部の後輪上部には旋回台を設け、ハンドルの操作で後輪の走行方向を変えて左右に旋回する。この場合、左右の前輪のブレーキを作動させ、片側の前輪を固定することにより、その前輪を支軸として旋回することができる。このため、作業空間が狭い場所でも旋回を容易に行うことができる(図2)。
- 本機のロール把持は台車部に立設したリフトアームに取り付けた固定把持アーム(右)と開閉把持アーム(左)で行うが、両把持アームの先端にはゴム車輪を取り付け、これにより、フィルム密封後のロールベールも安全に把持することができる(図2)。
- 把持部先端のゴム車輪は遊動軸を有し、自由に回転することができる。従って、ロールの縦置き荷積みにおいて、ロール側面を左右のゴム車輪で把持し、リフトアームを上昇させるだけでロールが反転し(図3)、底面を下にした姿勢に自動的に変換される。つまり、縦置きに荷降ろすことができる(リフトアームの上昇高さにより2段積みが可能)。
- 本機を用いたロールの運搬、荷降ろし作業に要する時間は1.17分/個であり、把持作業、荷降し作業の時間では従来型のグリッパよりも優れている(表1)。但し、移動距離によっては往路、復路に要する時間が若干劣る場合がある。
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成果の活用面・留意点 |
- 特に本機は保管場所の狭い中小規模な畜産農家のロールベール体系に適する。
- 本機の把持部は従来のトラクタ装着用のベールグリッパに活用できる。この場合、ロール反転用の油圧回路を1系統省略することができる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
機械化体系
低コスト
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