タイトル |
「ヒリュウ」台木を用いた高糖系温州みかん「青島温州」の低樹高栽培 |
担当機関 |
静岡県柑橘試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
高糖系温州みかん「青島温州」の台木としてカラタチの変異系統「ヒリュウ」を用いることにより、慣行の台木であるカラタチと比べて樹高が75%に抑制され、果実品質も向上する。
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背景・ねらい |
カンキツ類の台木にはカラタチを利用しているが、近年、作業の省力化、軽労働化の観点から、わい性の優良台木の開発が望まれている。そこで、樹勢が強い「青島温州」の台木として、カラタチの変異系統である「ヒリュウ」を用い、カラタチ台と樹体生育、収量、果実品質を県下5か所で比較調査した。
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成果の内容・特徴 |
- 樹高および樹冠占有面積は、「ヒリュウ」台がカラタチ台より小さく、この傾向は樹齢の増加により明確になる(図1、図2)。12年生樹で、「ヒリュウ」台の樹高および樹冠占有面積がカラタチ台のそれぞれ75%、49%である。
- 収量については、1樹当たりでは「ヒリュウ」台がカラタチ台より少ないが、樹容積当たりでは「ヒリュウ」台が多く、樹冠占有面積当たりでは差がない(表1)。
- 平均果実重は、「ヒリュウ」台とカラタチ台で明らかな差がない(表1)。
- 果実品質については、着色の進行は「ヒリュウ」台がカラタチ台よりも早い傾向にあり、糖度は「ヒリュウ」台がカラタチ台よりも高い(表2)。
- 以上の結果から、「ヒリュウ」台は「青島温州」に対してわい化効果が認められ、果実品質も向上することが明らかである。
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成果の活用面・留意点 |
- 「ヒリュウ」台は定植後1~2年目で着果させると生育が極端に抑制されることから、この間は着果させずに樹冠の拡大を促す。
- 収量を確保するために、「ヒリュウ」台の栽植本数はカタラチ台の2倍にする。
- 耕土が浅く乾燥する場所では、樹勢が弱くなりすぎて適さない。
- 弱樹勢品種では樹勢が弱くなりすぎるので適用できない。
- 「ヒリュウ」台木を育成する際には、実生の変異により主幹が真っ直ぐなものや極度にわい化しているものが10~30%生じるので、これらは「ヒリュウ」台木として使用できない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
温州みかん
乾燥
栽培技術
省力化
台木
低樹高
品種
わい化
その他のかんきつ
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