タイトル |
被覆尿素の活用による窒素施肥量の削減 |
担当機関 |
静岡県茶業試験場 |
研究期間 |
1997~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
肥効調節が可能な被覆尿素を年間窒素施用量の65%程度、春肥、夏肥、秋肥に組み込んだ施肥体系によって窒素の施肥効率化と環境負荷軽減が図られ、年間窒素施用量40kgでも、有機配合肥料を主体としたこれまでの慣行施肥体系における年間窒素施用量80kgや54kgと同程度の収量・品質を得ることができる。
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背景・ねらい |
露地栽培で降雨の影響を受けやすい茶において、生産性を維持しつつ環境負荷量を軽減できる肥培管理技術を確立するため、肥効調節が可能な被覆肥料(被覆尿素)の活用による施肥効率の向上効果について、茶樹の生育、収量、品質と硝酸態窒素による環境負荷の両面から検討する。
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成果の内容・特徴 |
- シミュレーション結果から茶園土壌の無機態窒素濃度を適正な値に維持するために、春、夏、秋肥に被覆尿素70日溶出タイプを用いることが有効である。(表1、図1)
- 施肥量が同じ場合、肥料が溶出・無機化し、下方へ浸透する時の濃度は、被覆尿素施用により年間を通して濃度変化が小さく、低い値で推移する。(図2)
- 年間の窒素施肥量を80kgから54kg、40kgに削減しても適切な肥培管理を行った場合、生育にほとんど影響を及ぼさない。収量は40kgでやや減少するものの、被覆肥料を用いることで、80kg、54kgと同等の収量が安定的に得られる。(図3)
- 年間窒素40kg施肥でも被覆肥料を用いることで、官能審査による品質(特に内容)評価では、窒素80kg、54kgと同程度の値が期待できる。(図4)
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成果の活用面・留意点 |
- 溶出に対し温度依存性が高いので、適切な使用には地域の気温、地温による溶出特性の予測が必要である。
- ここで示した被覆肥料を用いた施肥体系は静岡茶試の土壌条件や気象条件のシミュレート結果をもとに作成したものである。使用に当たっては、土壌条件、気象条件、栽培体系を考慮し、現地試験等に基づき、適切な施肥体系を確立する必要がある。
- 被覆尿素は窒素成分が高いことや窒素の単肥であることから、この資材を単独で用いることは難しく、配合肥料等の利用方法について現場で検討する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
肥料
栽培体系
施肥
茶
肥培管理
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