タイトル |
除湿機を用いたトルコギキョウ、スターチス灰色かび病の発病軽減と省農薬防除 |
担当機関 |
長野県野菜花き試験場 |
研究期間 |
1998~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
トルコギキョウまたはスターチス栽培施設において、除湿機を利用すると花梗部分の灰色かび病発病抑制効果が高く、発病軽減効果がある。また、除湿機と薬剤防除を組み会わせることにより、効率的及び効果的防除(省農薬)が可能である。
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背景・ねらい |
施設で集約栽培される花き類の多くに灰色かび病が多発する。そのため、生育期間中の農薬散布は主に本病を防除するために費やされる。長野県はスターチス、トルコギギョウの施設栽培が多く、本病の発生が常に問題となっている。除湿機の灰色かび病に対する防除効果については、野菜類で主に試験が進められているが、花き類ではほとんど試験されていない。そこで、花きにおける除湿機を利用した灰色かび病防除技術の確立を目指す。
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成果の内容・特徴 |
- トルコギキョウまたはスターチス栽培施設において、灰色かび病菌の胞子は1日の時間帯にあまり関係なく施設内を浮遊していることが示唆された(表1)。
- 除湿機による施設内湿度の制御を検討したところ、植物非栽培時にはほぼ設定通りの湿度(80%)に制御可能であったが、植物栽培時には数%の湿度低下にとどまった(図1)。
- 除湿機を運転することにより、施設内に浮遊している灰色かび病菌胞子は著しく減少した(表1)。これは、胞子形成の抑制に起因するものと考察される。
- トルコギキョウ、スターチスともに除湿機の利用による灰色かび病防除効果が認められた(表2、表3)。
- 発病抑制効果は、花梗部分で高いことが観察されたが、地際茎部の発病抑制効果は低かった。このことから、除湿機を使用しても無農薬とすることは困難であるが、株元を重点的に薬剤散布することにより効率的な防除が図れると考えられる。
- 除湿機と薬剤防除を組み合わせると防除効果がたかまった(表3)。
- 除湿機の利用下で農薬の使用量を慣行防除の50%削減しても同等かやや優る防除効果が得られ、省農薬が可能であった(表4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 予防や少発生時に除湿機を利用すれば、高い防除効果が期待できる。しかし、病原菌は枯死茎葉等に常時存在してることが確認されているので、発病を認めたら薬剤防除を併用する必要がある。
- 薬剤散布回数の削減目安は概ね50%以下である。
- 除湿機を利用しても、栽培中の湿度は数%から10%程度の低下にとどまる。極端に設定湿度を下げても経費がかかるだけで大きな効果は望めないので、結露しない程度の湿度設定とする。
- 導入する除湿機は施設の大きさに応じて選択する。おおよその目安は、150~200m2の面積に対し、1馬力(1馬力=7.457×102W)の除湿機1台である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
病害虫
施設栽培
スターチス
トルコギキョウ
農薬
防除
薬剤
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