イネ穂いもち圃場抵抗性遺伝子Pb1の穂いもち防除効果

タイトル イネ穂いもち圃場抵抗性遺伝子Pb1の穂いもち防除効果
担当機関 愛知県農業総合試験場
研究期間 1996~2000
研究担当者
発行年度 2000
要約 穂いもち圃場抵抗性遺伝子Pb1の穂いもち防除効果を準同質遺伝子系統を用いて検定した。穂いもち多発条件下でのPb1の発病もみ率低減効果は、防除価で表した場合、93.1と高い。Pb1をもつ系統は、もたない系統に対して、穂いもち被害による精玄米収量の低下が軽微である。また、両者の収量比は、多発条件ほど拡大する。
背景・ねらい Modanに由来するイネ縞葉枯病抵抗性を導入した品種から、穂いもち圃場抵抗性を発現する単一の優性主働遺伝子Pb1が発見された(藤井ら1999)。Pb1遺伝子を持つ品種は、穂いもちに対して強い圃場抵抗性を示し、また、これら品種の普及後19年を経た現在も抵抗性崩壊現象が認められない(藤井ら1999)。このため、今後のイネ病害虫総合管理へのPb1遺伝子の活用が期待される。そこで、Pb1座以外の遺伝的背景を同じくするF8準同質遺伝子系統6ペア[黄金晴(Pb1-+)/月の光(Pb1)のF7組換え自殖系統から、分子マーカー選抜によって作出]を用いて、Pb1の穂いもち防除効果を定量的に明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. イネ縞葉枯病抵抗性品種のうちでPb1遺伝子を有するものは、あさひの夢、祭り晴、月の光、朝の光、あかね空、ゴロピカリ、こいごころ等、中間母本St.No.1を系譜に持つ品種に限られる(表1)。
  2. いもち病抵抗性評価に好適な発病条件で検定した場合、Pb1遺伝子は、葉いもちに比べ、穂いもちに対して、より強い圃場抵抗性を発現する特性を示す(表2)。
  3. Pb1遺伝子は、幅広い穂いもち発生条件下において、安定して高い水準の穂いもち防除効果を発現する。Pb1遺伝子の発病もみ率低減効果を、殺菌剤の効果判定に用いられる「防除価」={(Pb1遺伝子を持たない系統の発病もみ率-Pb1遺伝子を持つ系統の発病もみ率)/Pb1遺伝子系統を持たない系統の発病もみ率×100}で表すと、93.1±0.65と極めて高い値を示す(図1)。
  4. いもち病が多発している条件下での、Pb1遺伝子を持つ系統の精玄米収量の低下は、持たない系統に比べて軽微である。Pb1遺伝子を持つ系統と持たない系統との収量の比は、今回試験の全平均で3.3倍で、穂いもち多発条件ほどその比は拡大する(図2)。
  5. 本試験でのPb1遺伝子を持つ系統の玄米蛋白質含量(ドライベース)は平均7.59%で、持たない系統の平均8.11%より有意に低く、Pb1遺伝子による穂いもち発病抑制に伴なって、食味低下につながる蛋白含量の上昇を防ぐ 二次的効果も認められた(表3)。
成果の活用面・留意点
  1. Pb1遺伝子をもつ品種は、葉いもちが発生しても穂いもちの被害が少ない特徴を有するため、従来品種に比べて、穂いもち対象だけでなく、葉いもち対象にも薬剤防除を軽減できる可能性がある。
図表1 216220-1.gif
図表2 216220-2.gif
図表3 216220-3.gif
図表4 216220-4.gif
図表5 216220-5.gif
図表6 216220-6.png
図表7 216220-7.png
カテゴリ 病害虫 いもち病 害虫 縞葉枯病 抵抗性 抵抗性遺伝子 抵抗性品種 品種 防除 薬剤 良食味

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