タイトル |
フリーストール方式への移行が牛群管理に影響する期間 |
担当機関 |
茨城県畜産センター |
研究期間 |
1990~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
繋ぎ方式からフリーストール・ミルキングパーラー方式への移行の際、牛群行動および搾乳作業性は移行後約2週間で安定する。また移行初日に乳量、乳脂肪分が減少するが翌日には移行前の水準に戻る。
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背景・ねらい |
フリーストール・ミルキングパーラー方式は酪農経営の大規模化に対応するための飼養法で、今後この方式に移行していく農家が増えていくことが予想される。そこで、繋ぎ方式からフリーストール・ミルキングパーラー方式への移行が牛群行動や搾乳作業性、乳量・乳成分に及ぼす影響を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 移行当日は繋ぎ牛舎で朝搾乳後、8時30分から搾乳牛29頭の輸送作業を開始し(10tトラック使用、輸送距離30km、1回の輸送時間片道約45分、3回往復)、14時に新牛舎への搬入を完了した。
- 移行当日は大部分の牛がストールに横臥せずにストールまたは通路に佇立する。次の日になると通路に横臥する一部の牛を除いてストールに横臥するようになり、横臥時間も長くなる。牛の行動は2週間程度で安定する(図1)。
- 移行当日夕方の搾乳では11名の補助者が牛を誘導したが1頭あたりの搾乳所要時間は移行前より10~20秒長くなり、また搾乳者歩数の合計も繋ぎ方式のときより多くなる。これらは翌日になると移行前とほぼ同程度になり、さらに日数が経過すると搾乳所要時間、搾乳者歩数は徐々に減少し、牛の行動と同様2週間程度で安定する(図2)。
- 移行後最初の搾乳では、環境の変化や輸送に伴うストレスにより、移行前より1頭あたり乳量は15%減少する。しかし次回の搾乳ではほぼ移行前の水準に戻り、それ以降の1日乳量は移行前と有意な差はない(表1)。移行翌日のバルク乳では乳脂肪分が移行前よりも低くなる。しかし2日目以降は移行前の水準に戻る。無脂固形分、乳蛋白質は移行の影響をほとんど受けない(表2)。また体細胞数も移行による変動はなかった。
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成果の活用面・留意点 |
- 新たにフリーストール・ミルキングパーラー方式に移行する農家での参考資料として利用できる。
- 移行の際のストレスが及ぼす長期的な影響については不明である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
経営管理
大規模化
乳牛
輸送
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