タイトル |
イチビの開花特性と種子の発芽能獲得時期 |
担当機関 |
三重県科学技術振興センター |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
イチビの開花開始時期は出芽時期とその後の光環境により決定され、発芽能獲得時期は開花時期の遅いさく果内の種子ほど早く、発芽能を獲得してからの経過日数が長くなるほど休眠性は高くなる。
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背景・ねらい |
トウモロコシ畑を中心に問題となっているイチビの防除対策として、除草剤を用いた化学防除技術が確立されつつある。一方、環境保全型農業として除草剤への過剰な依存を軽減することが重要な課題となっている。そこで、イチビの埋土種子量を増加させないために、トウモロコシ栽培期間内におけるイチビの開花時期を予測し、さらに開花後の発芽能獲得時期を調査する。
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成果の内容・特徴 |
- イチビが出芽してから開花を開始するまでの期間は、4月上旬に出芽したものが最も長く、出芽時期が遅くなるほど短くなる(図1)。
- 遮光条件と開花開始期の関係は、遮光が強くなるほど開花開始時期は遅くなり、1個体当たりの開花数も減少する(図2)。
- イチビが出芽してから開花を開始するまでの日数は出芽日、トウモロコシとの出芽日の差異、発生密度を説明変数とした重回帰式を用いることにより比較的高い精度で推定できる。ここで、出芽日の差異はトウモロコシによる遮光、発生密度は自己群落による遮光条件を示しており(図3)、出芽から開花までの日数は出芽時期とその後の光環境により決定される。
- イチビは開花後にさく果を形成し、経過日数とともに充実させてくる。外見的には開花後14日目頃までは緑色を呈し、その後、黒変し、さらに18日目以降には裂果する。イチビのさく果内種子は黒変する前でも一部は発芽能を有しており、6月開花のさく果では開花後14日目のさく果内種子で発芽能を有しているのに対して、8月開花のさく果内種子では10日目には発芽能を獲得している。また、開花後日数の経過とともに種子の休眠率は高まる(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 茎葉処理剤施用後の再出芽したイチビや遅播トウモロコシ内に発生したイチビは、開花開始期、開花後の発芽能獲得時期も早くなるため、特に注意が必要である。
- トウモロコシ栽培において、種子を生産させない栽培体系を検討する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
栽培体系
除草剤
とうもろこし
光条件
防除
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