アマニ油脂肪酸カルシウムの飼料添加による鶏卵中のα-リノレン酸強化

• 担当機関: 三重県科学技術振興センター農業技術センター（畜産）中小家畜グループ
• 研究期間: 2000～2000
• 発行年度: 2000
• 要約: 採卵鶏にアマニ油脂肪酸カルシウム1%以上添加した飼料を与えることで、卵黄中のα-リノレン酸を高め、卵殻の硬い鶏卵が生産される。
• 背景・ねらい: α-リノレン酸は脂肪を構成する脂肪酸の一つで、血栓症や心筋梗塞、ガン、アレルギーの発症を抑制する作用や学習能力等に関係があると言われており、植物のアマニ、エゴマ等に多く含まれている。そこで、卵用鶏の飼料にα-リノレン酸を約50%含むアマニ油脂肪酸カルシウムを添加することにより、α-リノレン酸（n-3系脂肪酸）を多く含む鶏卵の生産技術を明らかにする。

成果の内容・特徴

34週齢の白色レグホン種を60羽を供試し、市販の卵用鶏成鶏用配合飼料（ME2800kcal CP17.0% Ca2.7%）にアマニ油脂肪酸カルシウムを1%,3%,6%添加した3試験区及び無添加の対照区の計4区を設け、84日間不断給餌した。

1. 卵黄の脂肪酸中に占めるα-リノレン酸の割合は、1%添加では添加後7日目、3%添加は9日目、5%添加は12日目でほぼ一定の値となり無添加に比べそれぞれ5倍、13倍、20倍と多くなる（図1）。
   
2. アマニ油脂肪酸カルシウムを0,1,3,5%添加した飼料を28日間給与した鶏が生産した鶏卵を比べると、卵黄中のn-6系脂肪酸（リノール酸等）/n-3系脂肪酸（α-リノレン酸等）比（n-6/n-3比）は、添加水準の上昇と共に低下する。無添加の卵黄中のn-6系脂肪酸（リノール酸等）割合は比較的高いが、アマニ油脂肪酸カルシウムを1～3%添加することで4に近い値に調節することができる。日本人の摂る食事中の適正なn-6/n-3比は4といわれていることから、1～3%添加の鶏卵は脂肪酸バランスの良い鶏卵といえる（図2）。
   
3. 日産卵重、産卵率、飼料要求率は無添加と比較して1%添加が優れたが、3%及び5%添加は劣る。卵殻強度はアマニ油脂肪酸カルシウムを添加することにより高くなる（表1）。
   
4. 3%添加飼料を給与した鶏と添加していない鶏の鶏卵を食味の一対比較すると、香り・味のいずれの平均評点も0に近いことから、違いはないと判断できる（表2）。
   

成果の活用面・留意点

1. 付加価値の高い鶏卵ができる。
   2アマニ油脂肪酸カルシウムの1%添加により、1日100羽当たり約63円の経費が上乗せされる。
   

• カテゴリ: あま えごま 鶏 良食味