日本なし「幸水」のえき花芽着生に及ぼす環境,樹体条件の影響

タイトル 日本なし「幸水」のえき花芽着生に及ぼす環境,樹体条件の影響
担当機関 環境部
研究期間 2000~2000
研究担当者
発行年度 2000
要約 日本なし「幸水」のえき花芽着生率は園地の立地する土壌群により大きく異なり、灰色低地土では高く、粘質の褐色森林土では低かった。また、同一土壌群においては園地の立地する標高が低いほど着生率は高かった。樹体栄養,生育との関係では6月中旬~7月上中旬の葉中窒素含有率が高いほどえき花芽着生率が高かった。
背景・ねらい 日本なし「幸水」は長野県の基幹品種であるが、近年樹齢の経過とともに収量が低下しており、その回復が急務となっている。収量性低下の一要因としてえき花芽着生の不良による着果不足が考えられるため、えき花芽着生に及ぼす栽培環境,樹体栄養,樹体生育との関係について検討した。
成果の内容・特徴
  1. 1997~2000年の4年間、県内上下伊那地方の標高450~750m地帯の園地で、20年生以上の「幸水」について、えき花芽着生率を調査した。
  2. えき花芽着生率に対しては土壌群の影響が大きかった。4年間ともに灰色低地土で最も高く、ついで砂質の褐色森林土、黒ボク土であり、粘質の褐色森林土で最も低かった。灰色低地土では潜芽から発生した新梢でも高率で花芽が形成され、年次間差も少なかった(表1)。
  3. 園地の立地する標高が高くなるに従い、えき花芽着生率は低下する傾向が見られた。また砂質の褐色森林土を除き、同一土壌群でも、標高が高いほどえき花芽着生率は低かった(図1)。
  4. 樹体栄養との関係では、各調査年とも6月中旬及び7月上中旬の葉中窒素含有率と正の有意な相関が認められた。特に灰色低地土ではこの関係が明確であった(図2)。
  5. 新梢伸長など樹体生育との関係では、各年次に共通する有意な項目は認められなかった。ただし1998年では、5月中旬(満開後25~30日頃)の側枝先端新梢の展葉数が多いほど、また伸長停止時の新梢長(7月上中旬)に対する長さが長いほど花芽着生率が高い傾向が見られた。
  6. 以上の結果から、えき花芽着生率は土壌群,標高との関係が高く、えき花芽着生率を安定的に確保するためには、6~7月の葉中窒素含有率を高める必要があると考えられた。
成果の活用面・留意点
  1. えき花芽着生が不安定な土壌群,高標高地帯では、予備枝を用いてえき花芽を確保する。
  2. 6~7月の葉中窒素含有率の適正値及び含有率を高めるための肥培管理については、現在検討中である。
図表1 216307-1.gif
図表2 216307-2.gif
図表3 216307-3.gif
カテゴリ 日本なし 肥培管理 品種

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