豚発酵床における剪定枝利用

タイトル 豚発酵床における剪定枝利用
担当機関 埼玉農総研
研究期間 1999~2001
研究担当者 黒沢和久
崎尾さやか
浜口充
発行年度 2001
要約 破砕剪定枝は豚発酵床における敷料として単独利用及びきのこ廃菌床との混合利用が可能で、豚舎臭気の不快性が減少する。発酵床で利用後取り出し堆肥化したものは、堆肥の推奨基準を満たす。
キーワード 剪定枝、発酵床、敷料、堆肥化
背景・ねらい 家畜の敷料が不足し、新しい敷料素材の開発が求められている。一方、今まで焼却処分していた木質未利用資源は、ダイオキシン発生抑制のため、リサイクルすることが急務である。木質未利用資源のひとつである剪定枝は、資源量が多く、発生場所も身近である。そこで、剪定枝を破砕し、物理性、豚発酵床敷料としての適性、発酵床使用後の堆肥化特性について検討した。
成果の内容・特徴

  1. 太さ10cm以下の剪定枝を2軸専断式破砕機(歯幅25mm)で2回処理すると、長さ10~20mm程度の木質部が潰された破砕物となる。フリーハンマー式破砕機及び植繊機により剪定枝を破砕すると長さ10mm程度の繊維状破砕物となる。風乾物100gあたりの吸水量及び現物の容積重を測定した(表1)。
  2. 面積9m2深さ90cmの発酵床に肥育豚6頭飼養した。広葉樹主体の破砕剪定枝(フリーハンマー式破砕機及び植繊機により破砕したものの混合物)ときのこ廃菌床を混合利用した区(以下剪定枝・廃菌床混合区)は、きのこ廃菌床単独区(以下廃菌床区)より、床の発酵温度が高く、堆肥化初期に見られる易分解性有機物の分解が進む(図1)。2週目の有機物含有率が高いのは、発酵が立ち上がったばかりで、2週目までに排泄されたふん尿のうち分解されず残るものがあるためと思われる。、豚舎の臭気は、剪定枝・廃菌床混合区が、アンモニア濃度は高いものの、低級脂肪酸濃度はやや低く、不快性が低い。コンクリート床の豚舎と比較すると、両区とも低級脂肪酸濃度が低く抑えられている(表2)。(秋~春期試験)
  3. 2軸専断式破砕機で2回破砕後、平らに広げて自然乾燥させた剪定枝を単独で使用(剪定枝単独区)することにより、給餌器と対角位置の排泄場所のみ発酵が進み、中央部居住場所の床温度は夏でも低く抑えられる(図2)。豚の1日増体重は792.7g、飼料要求率は3.67であり、豚発育に床温度の影響はない。(夏~秋期試験)
  4. 豚飼養後1/3を取り出し、2週間に1回切り返し、5ヶ月間堆積発酵させたものは最高温度53℃に達し、堆肥の推奨基準を満たし、コマツナ発芽率は100%である(表3)。

成果の活用面・留意点

  1. 剪定枝は発酵温度が高いため、夏期においては中央部の水分管理に注意が必要である。
  2. 破砕機の種類により、剪定枝破砕物の物理性が異なるので、発酵床に適した機種を選定する必要がある。植繊機、フリーハンマー式、2軸専断式のいずれも木質部をつぶした破砕物ができるので、発酵に適している。
  3. 寄生虫症、抗酸菌症等の疾病に注意が必要である。

図表1 216454-1.gif
図表2 216454-2.gif
図表3 216454-3.gif
図表4 216454-4.gif
図表5 216454-5.gif
カテゴリ 乾燥 こまつな 未利用資源

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