暑熱時における稲発酵粗飼料給与の有用性

タイトル 暑熱時における稲発酵粗飼料給与の有用性
担当機関 埼玉農総研
研究期間 2000~2002
研究担当者 島崎 香
富田道則
発行年度 2001
要約 乳牛の乾物摂取量が落ち込む夏期に、稲発酵粗飼料を給与したところ、対照区としたチモシー区よりも乾物摂取量が多く、平均体重の低下も少なかったことから、暑熱時の粗飼料として適していると思われた。
キーワード 乳用牛、飼養管理、飼料給与、稲発酵粗飼料、夏期
背景・ねらい 従来、稲発酵粗飼料(以下イネWCS)は、粗飼料の不足する冬季を中心に給与されてきた。イネWCSは嗜好性が良いことから、暑熱ストレスによって乳牛の乾物摂取量が落ち込む夏季にイネWCSを給与し、乾物摂取量や生乳生産を増加させることを検討する。
成果の内容・特徴
  1. 試験前年の10月に2%尿素を添加してロールベール調製したイネWCSを供試した。
    乾物割合で粗濃比4:6に設定した混合飼料(TMR)の粗飼料部分をトウモロコシサイレージ(コーン区)、チモシー乾草(チモシー区)、イネWCS(WCS区)に変えた3処理区のTMRを作成し(表1)、これらを6頭のホルスタイン泌乳牛に与える3×3ラテン方格法の泌乳試験を実施した。
  2. 乾物摂取量は表2に示すとおり、WCS区が最も多く、コーン区との間に有意な差 (P<0.05)がある。
  3. 平均体重はチモシー区が最も低かったが、有意な差は認められない(表2)。
  4. 乳量や乳成分において、3区で有意な差はみられない(表2)。
  5. 第一胃液の性状に差はみられなかったが、pHはWCS区が最も高かった(表3)。
  6. 以上のことから、イネWCSは乾物摂取量が最も多く、乳量や乳脂肪率ではチモシー区にやや劣るものの、暑熱ストレスの指標とされる体細胞数やルーメンpHは良好な値であったため、暑熱時の粗飼料として適していることがわかる。
成果の活用面・留意点
  1. 初めて稲WCSを給与する場合には、徐々に馴致していく。
  2. 夏期にイネWCSを給与する場合の指針として活用できる。
  3. 夏期にイネWCSを給与するためには、長期保存を目的として尿素等の添加剤を用いて調製し、ラップ開封後は早めに給与する。

図表1 216461-1.gif
図表2 216461-2.gif
図表3 216461-3.gif
カテゴリ 飼育技術 トウモロコシサイレージ 乳牛

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