タイトル |
三元交雑による特定JAS規格の新たな地鶏の作出 |
担当機関 |
茨城畜セ |
研究期間 |
1996~2002 |
研究担当者 |
御幡壽
作田敦
垪和靖俊
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発行年度 |
2001 |
要約 |
特定JAS規格に沿った特殊肉用鶏の三元交雑による作出を試みた結果、父系にホワイトコーニッシュ(W)とF1母系に{比内鶏♂(H)×ロードアイランドレッド♀(R)の交雑鶏}(HR)を用いた三元交雑鶏が、80日齢時の肥育目標(2,800g以上)を上回り、特定JAS規格にあった新たな地鶏を作出することができた。
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キーワード |
特定JAS規格、ホワイトコーニッシュ、比内鶏、ロードアイランドレッド、三元交雑鶏、地鶏
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背景・ねらい |
特定JAS規格の改正に伴い、茨城県内のブロイラー生産農家においても、規格にあった新たな特殊肉用鶏生産の要望が多い。そのため、当研究室保有の各種系統の鶏を利用して、高品質肉用鶏「奥久慈しゃも」とブロイラーの中間に位置する新たな特殊肉用鶏の交配様式を確立し、鶏肉の需要拡大を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 三元交雑のF1母系について、比内鶏、薩摩鶏、、名古屋種、ロードアイランドレッドを用いた交配試験を行った結果、比内鶏雄×ロードアイランドレッド雌の組み合わせによるロード交雑(HR)が、肉質や産卵率の成績が最も良かった。
- 三元交雑の父系について、ホワイトコーニッシュ(W)とレッドコーニッシュ(R)を用いてロード交雑(HR)との交配を行い、80日間の肥育試験を行った結果、ホワイトコーニッシュ雄(W)とロード交雑雌(HR)の組み合わせによる三元交雑鶏(W×HR)の方が、80日齢時体重が2,857g(雌雄平均)で当初目標の2,800gを上回り、飼料要求率も2.6(雌雄平均)で、発育、飼料要求率はともに優れていた(表1、表2)。解体成績及び肉質においても、W×HRの方が優れていた(表3)。
- W×HRについて旨み成分の分析を行ったところ、グルタミン酸含量が一般的なブロイラーの値(3700mg/100g)よりも高く、おいしい肉であることが推察された(表4)。
- W×HRは喧噪性や闘争性が低く、平飼いでの群飼が可能で管理しやすい。
- 以上の結果から、W×HRは特定JAS規格の飼育期間80日間以上での出荷が可能で、また在来種の血液百分率50%以上の条件を満たしており、新たな特定JAS規格の地鶏としての普及が十分に期待できる。
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成果の活用面・留意点 |
- W×HRは、特定JAS規格の地鶏の条件を満たしており、ブロイラーと高品質肉用鶏の中間に位置する新たな特殊肉用鶏に利用できる。なおコマーシャル鶏としての供給は、平成14年から可能である。
- W×HRは羽色が白色であり、地鶏の一般的なイメージの羽色ではないため、普及に際しては考慮する必要がある。(広告には斑紋の多く出ている鶏を選ぶ)
- 普及を拡大するにはコマーシャル鶏の安定供給が必要であり、平飼いで種卵を採取する場合の受精率をさらに改善する必要がある。また飼養管理、給与飼料についての検討も継続して行う予定である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
飼育技術
出荷調整
需要拡大
鶏
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