タイトル |
窒素施肥量の削減がチャの収量品質に及ぼす影響 |
担当機関 |
静岡茶試 |
研究期間 |
1998~2001 |
研究担当者 |
鄕野浩
小柳津勤
森田明雄
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発行年度 |
2001 |
要約 |
県内4箇所の茶園において窒素施肥量を大幅に削減して4年間栽培を行ったところ、年間窒素施肥量27~30kg/10a程度では、一部を除き、3~4年以内に一・二番茶の収量や全窒素含有率が低下するなどの影響が見られた。同54kg/10a程度では、わずかに収量・全窒素含有率の低下傾向を示すところがあるものの、4年間では、大きな影響は見られなかった。
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キーワード |
茶、窒素施肥量、施肥量削減、収量、全窒素含有率
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背景・ねらい |
茶園での施肥量は他の作物に比べ多く、溶脱した肥料成分の環境に及ぼす影響が懸念されている。しかし、大幅な施肥量削減は過去に経験がなく、現場での不安が大きい。そこで、各地域での施肥量削減の取組みを支援するとともに、より一層施肥量を削減するための基礎資料を得る目的で、10a当たり年間窒素施肥量を慣行の80kg程度から51~54kg、40kg(1ほ場のみ)、27~30kg、0kgと大幅に削減した茶園を現地に設置し、土壌中の無機態窒素と収量、品質を調査した。
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成果の内容・特徴 |
- 0kg区では、全てのほ場で収量が低下する傾向が見られた。清水、本川根では処理開始後1~2年で、一番遅かった茶業試験場ほ場(以下茶試)でも3~4年目で、収量が他の処理区より低くなった(図1、菊川・本川根は図省略)。一、二番茶の全窒素含有率(図2、菊川・本川根は図省略)も、各地で低下する傾向が見られ、特に清水・本川根で顕著であった。官能審査(図省略)では、清水の0kg区で3年目以降やや評価が低くなった。
- 27~30kg区では、3年目までについては、清水・本川根で収量が低下する傾向が見られたが、茶試・菊川では施肥量の多い区と差がなかった(図1、菊川・本川根は図省略)。しかし、4年目の二番茶では、茶試でも収量がやや低下した。一、二番茶の全窒素含有率は、3年目以降の清水など、一部で施肥量の多い区に比べて低下する傾向が見られた(図2、菊川・本川根は図省略)。
- 51~54kg区では、清水(図1)と、本川根で収量がやや低くなったものの、一、二番茶の全窒素含有率(図2)・官能審査結果(図省略)と、菊川での収量には4年目でも明確な差は見られなかった。茶試の40kg区と54kg区については、明確な傾向は見られなかった(図1、図2)。
- 土壌中の無機態窒素は、表層・下層とも概ね施肥量の多い区ほど高く推移したが、施肥量差の現れ方は試験場所によって異なっていた(表1)。平均すると、各ほ場ごとに収量の高低と類似した関係が見られ、収量に関係していることが示唆された。
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成果の活用面・留意点 |
- 施肥量削減を目的とした施肥基準作成のための基礎資料とする。
- 処理開始後4年間の結果であることに留意する。特に、窒素施肥量40~54kg/10a程度にした場合、4年目以降の影響については更なる調査が必要である。
- 土壌中無機態窒素は、窒素施肥量が同じであっても、ほ場・環境条件や施肥の内容・時期により大きく異なることから、収量・品質を維持しつつ施肥量削減を進めるためには、各地域にあった施肥設計を作成する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
肥料
施肥
茶
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